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エイユウの話~冬~

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「肝心なことが一つ抜けているね」
「肝心なこと、とは?」
 問い詰めるようにアウリーが促すと、その言い方に緑の導師が不快感を露わにした。じろっとラジィを見たが、彼女も同じように緑の導師を見ている。優等生の彼女でも、今は彼を助けることはなさそうだ。
 ため息をついて、言葉を続けた。
「ゴパスは二種類ある」
「チェスジーア」
 名前を呼ばれ、緑の導師は明の導師に顔を向ける。
 これ以外にどんな方法がある?
 そう、目が言っていた。確かに説明してしまうのが最も早いだろう。それでも他に方法がないとは思えない。明の導師は何か言おうと口を動かしたが、すぐに案が浮かばず、まごまごと動かすだけに終えた。これでは説得力もない。
 結局説明を止めさせることは出来なかった。再び彼女達の方に向き直る。
「魔力の少ない種の他に・・・」
 ここまで来て少し迷うようなしぐさを見せ、しかしやめるわけにはいかず妙な間が溜まった。
作品名:エイユウの話~冬~ 作家名:神田 諷