エイユウの話~冬~
「もうちょっと賢い子だと思ってたのにねぇ」
「もともと問題児だし、仕方のないことでしょう」
教員室内にいた、明の導師と緑の導師の会話だ。思わず耳をふさぎたくなる。ため息をつくのが解って、緑の導師が話を続けた。
「大体、真実を言ったところで納得しないでしょう」
「そうよねぇ。彼らはゴパスだとは信じないでしょうしねぇ」
ゴパス。その単語を聞いた瞬間、キサカの頭がフリーズした。
ゴパスとは、アルディとジャームの混血の事だ。「鈍色」というその意味からも察することができるように、あまりよくないものと考えられている。めったに見られない人種ではあるが、二人種は線を引いてくっきりと居住区域が分かれているわけでもなく、やはり境目というのが存在した。そのためそういう村では、ゴパスも珍しくはない。また、初めのころにも説明したとおり、ゴパスの髪は金色とされている。
キサカはドンと拳を壁にぶつける。手に痛みが走ったが、それにかまう余裕はなかった。
「・・・違うじゃねぇか」
そうつぶやくと、キサカはおもむろに向きを変えて歩き出した。