エイユウの話~冬~
3
翌日。朝っぱらからキサカは職員室で導師と言い争っていた。
「だからなんでダメなんだよ!」
「危険だからって言っているでしょ!子供じゃないんだから、それくらい理解なさい!」
そう言われると、キサカは何も言い返せなかった。
キサカはまだ十八歳であり、その歳はこの世界でもまだ成人認定されていない。そのためまだ子供だというのは確かだし、キサカだってそれくらい思い付いたが、それを言うのはまだプライドが邪魔をした。それどころの事態じゃないことは解っているだけに、それが腹立たしくて仕方ない。
答えに詰まった隙に、キサカは教員室から追い出される。
「駄々をこねるのもいい加減にしなさいね」
「あ!」と声を出す前に、扉を閉められてしまった。新たな案が浮かんでいない今、開けたところでさっきまでの案をごり押しするしかない。でもそれが浅はかに感じて、彼は再びプライドの前に坐した。
はぁと大きくため息をついて、職員室の扉の前に座り込む。
自分はもっと立ち回りがうまい方だと思っていた。そんな過信にキサカは幻滅する。今の自分は完全に「自分」に押し負けている。柔軟性はもう少しあるはずだったのに。
ふとドア越しに、導師たちの会話が聞こえてくる。