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エイユウの話~冬~

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 示し合うことなく、三人は同時にしゃがみ込んだ。円陣を組む形で復習する。
「今の状態は『抵抗せずじっとしている』だったわよね」
「弱ってるってことじゃねぇのか?」
「いえ、さすがに見殺しにするわけにはいかないかと」
「でも『ご飯出しても食べませんでしたー』って言われたら終わりじゃない」
「いや、たぶんそれは世間に通らないかと思いますよ」
「だろうな、そんな子供だまし」
 アウリーの否定はともかく、キサカの否定にラジィが怒り、二人は立ち上がって喧嘩を始める。アウリーが慌てて止めに入るも止まらず、長々と近くその喧嘩は繰り広げられた。
 十分後、やっとアウリーの仲裁で二人の喧嘩が止まり、三人はまたもとの体勢に戻った。
「じゃあ、少なくとも健康に問題はないわけね」
「はい。『死にはしない』という意味で問題なしです」
 最低ランクの安全保障だが、それでも今は貴重な資料だ。
「で、『期末も終われば』って、次の期末っていつだ?」
 年間スケジュールは年初めに配られるので、去年の期末の情報を持っているのは珍しくない。とはいえ本来ならキサカが聞かれる側のはずなのだが。
「具体的な日程はまだわからないけど、例年だとあと一ヶ月くらいかしら?」
 二人が一ヶ月を長いと取るか短いと取るかで第二回戦を始める中、アウリーはカバンからスケジュール帳を出した。まだ新年を迎えていないので、去年の予定を調べることが出来る。
作品名:エイユウの話~冬~ 作家名:神田 諷