エイユウの話~冬~
「流の導師様、校則は守るためにあるものでしょう」
すると導師は、三人を順々に見た。足音も無く、まだ誰も帰ってくる気配はない。外で騒ぐ生徒の声もなく、座学が淡々と始まったのだろうと推測できた。校則に従いキースを解放しなければ、三人は引き下がらないだろうと、簡単に推測できる。口でどうこうできる様子ではない。
「私が考えれば、静かに籠もっているケルティアより、貴様らのほうがずっと不穏分子だな」
三人は目を丸くした。キースは静かに籠もっている。いま、そう情報を流したのだ。あれだけ聞いても教えてくれなかったのに。席を立った導師は、更に続ける。
「期末も終わればアレの幽閉も終わりだ。幼子でないならそれくらい待てるのが普通だろう」
こちらに目をやることもなく不機嫌な様子で、職員室を出て行ってしまった。がたんとドアが閉まる音で、三人は我に返る。
「え?」
初めに声を漏らしたのはアウリーだった。
「今、なんて・・・」
耳を疑ったのは残りの二人も一緒だった。あんなに黙っていたのに、流の導師が思わぬところでポロリと漏らしたのだ。いや、違う。三人は何故か確信を持った。それを口にしたのはキサカだ。