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エイユウの話~冬~

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「今日でもう一ヶ月以上ですよね」
「今ちょうどその話をしてたけど・・・どうしたの?」
 ラジィが少しびびりながら尋ねると、アウリーはぐっと手を握り締めた。
「生徒の幽閉期間として一ヶ月以上は法外な長さです」
 ここでいう「法」は、法律ではなく校則だが。
 もともとこの学園は問題ある生徒を停学処分にする際、あまりひどいと地下牢といわずとも「幽閉」することがある。そしてその期間の上限は、停学処分期間の最長期間である一ヶ月であり、それ以上の幽閉は確かに校則に反している。
 アウリーはそれを盾に彼の解放を願おうというのだ。校則を真面目に守っている、彼女ならではの発想である。しかし校則を真面目に守る者は、悲しいかな生徒にも教師にも少ないのが事実。
「・・・望めんのか、それは」
「一か八かでも動くべきですよ。もしかしたら、幽閉期間がわかっちゃうかもしれません」
 幽閉期間の長さが長かった場合、彼等は現状より一層キース救出に意欲を沸かす可能性がある。そう判断されてしまったせいで、その予定期間すら不明だった。アウリーはペロリと漏らすかもと期待するが、もう二人ともそんな期待は抱かなくなっている。
 一か八かも解ってしまった状態で、二人はアウリーに引かれるままに職員室に向かいだした。
作品名:エイユウの話~冬~ 作家名:神田 諷