エイユウの話~冬~
「・・・キース、どうする?」
「助け出す」
ラジィの問いかけに、キサカはすぐさま答えた。迷いは無い。ラジィは茶色の髪を一度手で翻すと、背筋を伸ばした。
「どうやって助けるの?」
「方法は考える」
清々しいほどはっきりと答えたが、要は何も考えていないらしい。ラジィは思わずため息をついた。ひゅうっと北風が二人の間を通り抜ける。ラジィは冷たさに思わず目を瞑った。
「手段は選べねぇけどな」
声に反応して目を開けると、ラジィ同様すっと立ち上がったキサカがいた。その黄色い目は決意にあふれ、夕日の色が彼の髪を更に赤く染め上げる。秋祭りの時には綺麗だと思ったその色は、自分の無力さにあふれる彼の、憂鬱さを表しているように見えた。