エイユウの話~冬~
「・・・さすが魔術暦学特級受講者ね、出てないくせに」
「いいからさっさと話せ」
寒い野外にいるだけでも嫌になるのに、焦らされるなんて彼にとってはごめんだった。ラジィはこめかみの辺りに人差し指を当てると、必死に思い出す。しかし目的のものは出てこずに、結局彼女は諦めた。
「なんか理由は忘れたけど、キースが第二次学園反乱に関わるらしいのよ」
「は?」
キサカはマヌケなほどにあんぐりと口を開けた。おっとりとして戦闘嫌いな彼と、その予測がつりあわないからである。
いつもなら大声で笑うのだろうが、さすがのラジィも共感せざるを得なかった。むしろ、学園反乱を起こすなら、もっと前に起こしていただろう。それだけの勇気と行動力があればだが。金髪迫害思想が軽薄になった今を狙うには、あまりにもおかしいのだ。今起こして得られるものといえば、再度さすような視線を投げかけられるようになるだけ。相当な変わり者でない限り、そんなことは望まないだろう。
ふと、キサカは思い出す。
「そういや、お前はなんていわれたんだっけ?」
「・・・仲間を信用しないで、って感じじゃなかったかしら?」
さすがに一言一句は覚えていない。キサカは眉間にしわを寄せた。