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エイユウの話~冬~

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 二人だけになった導師室。導師は投げられた椅子を戻すと、しゃがみ込んでキャスターとの接続部分を調べる。直らないことがわかっても彼は諦めることができずに、がたがたと大きな音を立てて接続を試みていた。不意に口を開く。
「もうあんな子達と関わるのは止めなさい」
 普段のラジィは模範生徒として教師たちからの信頼も厚いのだが、担当経験のない彼にとっては、最早ただの問題児と成り果てていた。不良とつるんで欲しくないと思うのは、多くの親に通じる感情である。
 しかし、アウリーは耳すら貸さなかった。淡々とした口調で切り出す。
「どこに、とは問いません。キース君は幽閉されているんでしょう?」
「お前までそんなことを・・・」
 根拠のないあの二人の勢いに毒されたのだと、自分の忠告の遅さを反省する。最高術師と次高術師があんな気性だとは、誰も思うまい。そんな父親の思いが通じたのか、アウリーは答えた。
「キース君の部屋に、みんなで行きました」
 それだけで、娘が親のうそを見破るには充分だった。それでも追い詰めるように彼女は言葉を流していく。
作品名:エイユウの話~冬~ 作家名:神田 諷