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エイユウの話~冬~

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 なぜ、キースはいなくなったのか。
 アウリーの話によれば、最後に彼を見たとき、誰かに呼ばれていたといっていた。もし苛めっ子の集団であれば、きっと彼は無視して終わりだ。となれば、同級生ではない。ノーマンやギールという選択肢もあるが、果たして自分たちに先に行かせる意味はあるのだろうか?それにあの二人の姿を見たら、アウリーが解らないことはないだろう。解らずとも特徴を捉えることが容易な二人組みだ。赤髪というか、金髪というに決まってる。
 そうなると答えは絞られてくる。つまり教師だ。スカウトマンに呼び止められるという可能性も学園祭ならありえるが、彼はまだ一年生で、契約の話を持ち出すことも出来ない。この国では、十七歳以下に公的職務を任せることは禁止されている。法師なんて社会的にも著名な役職に、十五歳の彼をスカウトすることは不可能だ。
 教師に呼ばれたとなると、準導師、導師あわせて何十人にもなるが、大体導師だろうと推測がついた。なぜなら、準導師は導師の許可なく生徒を呼び出すことは出来ないためである。以前準導師と生徒の間で不順異性交遊があったのが原因だとか。キサカに言わせれば馬鹿げた理由だ。
 ここで発生しやすい勘違いは、準導師が導師の名を利用して呼び出すことが出来るのではないか、ということだ。端的に言えば、準導師はただの伝達にすぎない。つまり準導師は呼ぶだけであって、結局導師の所に行かなければならないことになるのだ。
 キサカは考えをめぐらせる。
 キースに用がある導師が一体誰なのか?
 流の導師とは、ラジィが失恋して以来あまり関わってきていない。彼の結婚と同時にキサカ達に対する嫌がらせはなくなり、「離婚されるのが怖いのだ」とキースと笑いあったのは記憶に新しい。明・奏・地の導師も彼とのかかわりは薄く、推測されるのは担任の緑の導師と、彼を好きなアウリーの父親である心の導師だけだ。
 そして今、一つの答えが導き出された。
作品名:エイユウの話~冬~ 作家名:神田 諷