小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

エイユウの話~冬~

INDEX|18ページ/80ページ|

次のページ前のページ
 

「あんた、水使いでしょ?」
 水使いとは彼女の造語で、どうやら水を使う術師のことを示すらしい。明の魔術で水を使用している彼は、もしその意味であっているなら、確かに水使いだった。
 嫌な予感をひしひしと感じながら、キサカはそれを肯定する。するとラジィはキサカの腕を取って、ドアの前に立たせた。
「あんたほどの腕があれば、ウォード錠の開錠なんて、料理するより楽でしょ?」
 実は料理が壊滅的に下手なキサカには、確かにそうかもしれない。しかしだからと言って、簡単なはずがなかった。それ以前に、道徳上、法律上の問題が浮上する。
「不法侵入だろ!」
「緊急事態よ!もし中でキースが倒れてたらどうするの?」
「クルガルが出てくるっつってたじゃねぇか」
「木鏡から勝手に出て来れる魔物なんて、人型くらいよ!獣型なんかじゃ無理だわ」
「っつーか、それ以前に俺を犯罪者にするのか?」
「俺ではないでしょ。三人同罪よ。でも、友達に何かあったのに黙ってるのは違うわよ」
「・・・そりゃそうだけど」
 ラジィに初めて言い負かされそうになり、抵抗勢力としてアウリーに視線を向けた。が、キースに思いを寄せている彼女がラジィに賛成しないわけもなく、じっと彼を見つめている。もう逃げ道はなくなった。
作品名:エイユウの話~冬~ 作家名:神田 諷