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水岡 きよみ
水岡 きよみ
novelistID. 46973
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みずいろ

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帰宅すると、家には誰もいなかった。
きっと、母親は仕事が忙しいのだろう。
妹と父親は、きっといつものことだから出掛けたはずだ。
彼らは私が部活へ行っている間、いつも二人でどこかへ出掛ける。
それは、私が吹奏楽部へ入部した時点からずっとそうだったから、もう慣れている。私は家族が嫌いなので、都合がよい。

リビングは薄暗く、レースカーテンが中途半端に閉められているだけであった。
私は、ベランダに洗濯物が干されていないのを確認し、カーテンを閉める。

…17時でここまで暗くなるものか。

気候の変動に驚きつつ、暇をもて余した私は、とりあえずパソコンの電源を入れてみる。


リビングにある、この白いノートパソコンは、家族共用のものだ。
しかし、家族の前で私がパソコンを開いていると、母親が画面を覗き込んできて、自分の知らないジャンルの画面を開いていると、すかさずチェックを入れてくる。

この間なんて、学生向けに安全な仕様で作られているごくシンプルな掲示板を見ていただけで、そこで同い年の吹奏楽部仲間と学校のことについて語り合っていただけで、怪しいからダメとの叱責を受けた。


私は、悪いことはなにもしていないのに。

変なリンクに飛んだり、怪しいウェブサイトを閲覧したりは一切していないのに。


どうして、ネットで友達を作るのがそんなに悪いことなのだろうか。
問題なく仲良くできるなら、それがネット上であろうと、リアルであろうと、関係ないのではなかろうか。

むしろ、理由もなく自分を忌み嫌うクラスメイトたちや、いじめや嫌がらせを試みる連中と仲良くしろと強要する方が余程どうかしていると思うし、それを勧めてくるなんて、親として、人として、如何なものか。とても信じられない。


…あんまり怒りをつのらせると、爆発してしまいそうなので、とりあえず深呼吸。
吸って、吐いて、
吸って、吐いて。

…よし。


パソコンの電源が入ったことを告げる電子音に気づき、インターネットを起動させる。

検索欄に矢印を置いて、なにを検索しようか、ふと考える。


(そういえば、転校した親友にメル友募集の掲示板を紹介してもらったっけな…検索してみるか)


私は、親友に教えてもらった検索ワードを入力していく。
彼女は、そこで、どんな人と知り合い、どんな会話をしたのだろうか。

そんなことに思いを馳せながら、検索ボタンを押した。
作品名:みずいろ 作家名:水岡 きよみ