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水岡 きよみ
水岡 きよみ
novelistID. 46973
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みずいろ

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「なっちゃん来てたんだね、こんにちは」

なっちゃん、とは私の通称である。
今更ながら名乗らせて頂くと、
私の名前は 一ノ瀬 なずな。
3月初頭に生まれたから、なずな。
ペンペン草は昔から大好きな花だけれど、なんせ小ぶりで目立たないので地味で大人しい私にはお似合いの名前なのかもしれない。

「あ、こんにちは!部活早上がりで久々にこの辺来てみたら皆さんがいてびっくりしました」
「そうだったんだ!そういえばなっちゃん、この間僕と写真とったよね?トモヤ君とは撮った?」
「トモヤさんとは撮ってないな~」

このバンドの人は、人との繋がりを大切にしているせいかファンサービスも豊富で、演奏を観に来たお客さんと写真を撮ってブログに載せたりもしている。
私も先週、塾の帰りにボーカルのヒデさんと写真を撮らせてもらった。トモヤさんとはベースの人で、まだ若い印象だ。

「お待たせー、さあ撮ろう撮ろう!」

ぼんやり考えてると楽器を置いてきたトモヤさんが駆け寄ってきた。

私は思い切り笑顔を作り、ヒデさんの手に握られている当時はまだ珍しかったスマートフォンの小さなカメラレンズを見つめた。


作品名:みずいろ 作家名:水岡 きよみ