みずいろ
はじまりの日
その日、部活が午前中で終わったので、私は一人でどこかへ行こうと考えていた。
当時、中学3年だった私は吹奏楽部にいた。
コントラバスと呼ばれる、吹奏楽では唯一の弦楽器にあたる巨大な楽器を操っていたのだ。
6月というと、
県内のある地区に所属する中学校が集結して各学校が発表する演奏会に向けた練習
夏のコンクールに参加できるメンバーを決めるための部内テスト
など、わりかし忙しい1ヶ月である。
にもかかわらず、月間予定を見ると
やたら練習時間が短いのだ。
これを見てどう思うだろうか。
そう、答えはひとつ。
…遊ぶぞ。
というわけで、いまいち行き先が絞れずにいた私だが、とりあえず隣の市にあるショッピングモールに行くことにした。
そこは、私が小学生の時にできたのだが、オープンしたては毎週のように家族や祖父母に連れてきてもらっていた。一人で来るのは今回が初めてだった。
片道の電車賃を携帯のメモ機能に打ち込み、電車に飛び乗る。