田舎の常識
1
真夏の暑い日、窓から日差しが射し込む昼過ぎのこと。久しさぶりに友達がアパートに遊びに来るため、俺は、ぎこちない手つきで、自分の部屋を、掃除機で隅々まで綺麗に掃除した。
「ピンポーン」
と、ベルの音が鳴り響いたので、俺はドアを開け、友達を部屋へと招き入れようとする。すると、友達が……。
「ヒィィィ」
と大きな叫び声を上げる。
「おい、どうしたんだよ?」
俺はその声に問い掛ける。
「ワアア!アアーー!」
発狂したような顔で友達がアパートを飛び出した。俺は友達を追いかけようとするが、玄関に散らかった友達の靴をしばらく眺め、友達が逃げ出した理由を考えた。ふと、後ろを振り返り、天上を見上げると、無数の小さなハエ達と巨大なハエが一匹、身動き一つせず、ハエトリ紙にしがみ付いていた。