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セテゥンタ
セテゥンタ
novelistID. 44095
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田舎の常識

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高さ50m・幅1mはあると思われるその餌は、ある日を境に、突如、現れた。くん製肉のように、天から吊るされたその餌からは、とても香ばしい臭いがする。嗅げば嗅ぐほど、口からヨダレがジュルリと垂れ流れる。一口舐めれば、「うんめええ」と叫びだすほどだ。

 誰かの仕業なのか?神の気まぐれなのか?はわからない。だが、その巨大な餌は、今、俺の目の前にあるのである。やがて、ゴミ共が、臭いを嗅ぎつけて、俺の周りに近寄ってきた。

「この餌は誰にも渡さん!寄るな!近寄るな!死にたくなければ、失せろ!虫けらども!」
俺は声を張り上げ、近寄ってくるやつらを、気迫で追い払う。初めは、少数だった。だが、次第に数が増えていき、気がつけば、百を超える群れが、俺の周りを取り囲んでいた。数は群れを成し、次々に餌へと飛び掛かってくる。俺は餌を守るべく、声で威嚇するが、数に勝てるはずもなく、虚しく声がかき消されてしまう。

 このままでは餌が、無くなってしまう。俺はそう思った。だが、どういう訳か、餌は一向に無くならない。それどころか、餌に群がってきた連中が次々に死んでいく。一体何が起きているのか、全く理解できない。

俺は死なないのか?俺は特別なのか?そうなのか?いや、きっとそうに違いない。そうだ、俺だけは死なない。俺は死んで行ったやつらを見て、ハハハとあざ笑う。

作品名:田舎の常識 作家名:セテゥンタ