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風のごとく駆け抜けて

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私達だけでなく、周りの男性ランナー達も騒めきだす。

「みなさま。今日5キロの部を一緒に走ってくださいます、昨年度世界選手権マラソン日本代表の水上舞衣子さんんです」
マイクを使って紹介されると水上さんは私達に一礼する。
それに対し私達も拍手で返す。

「ちなみに水上さん、今日は女性ランナーの先頭と一緒に走られるそうです。ちょうど先頭に元気のよさそうな女子高校生達がいますね。水上さんせっかくですので、彼女達とスタートしてはいかかでしょうか」

大会運営者の人に言われて、水上さんは笑顔で賛成し、私達の所へやって来る。
周りの市民ランナーの方々も拍手で迎える。

水上さんは駅伝部の中心にやって来られた。
幸運にも私のすぐ隣。

水上さんの左手側に私が、右手側に紘子が、後ろには葵先輩がいる格好となる。

「今日はよろしくね。あ、桂水高校ってもしかして顧問は永野綾子?」
「はい。さっき綾子先生が電話されていた時、私達もすぐ側にいました。お恥ずかしながらサインをお願いしますと言ったメンバーです」
葵先輩が少し恥ずかしそうに答える。

永野先生の教え子と分かって、親近感が沸いたのか、水上さんの笑顔が3割増しくらいになる。

隣で見る水上さんは、なんとも体が細かった。
日本でマラソンのトップクラスになろうと思ったら、こんなにも体を絞らないといけないのだろうか。

私も正直に言うと体は細い方ではあるが、水上さんはその私より一回りくらい体が細い。

でもハーフパンツから覗いて見える太ももなどは、しっかり筋肉が付いており、無駄な脂肪がまったく見当たらない。

私達高校生ランナーと実業団選手の違いをハッキリと感じる。

「こら、聖香。そんなにじろじろ見ない」
私の斜め後ろにいた麻子が、肩に寄りかかって来るような感じで、そっと耳打ちして来る。

「いや、あまりにも無駄の無い体に思わず見とれてしまって……」
私も隣の水上さんに聞こえないように、そっと麻子に返事をする。

「あら、聖香は水上さん以上に無駄がない体をしてると思うけど? 一部分だけ」
「麻子……。まさか胸がとか言うんじゃないんでしょうね」

私が睨むと、すっと麻子が視線を外す。

まったく麻子め。

自分で思ってたことを他人に言われると、なんとも腹が立つものだ。

「スタート30秒前です」
係員のアナウンスが流れる。

「ちなみにみなさんは、どれくらいのタイムで走るつもりですか?」
「この前、5000mで15分36秒だったので今日は15分30秒切りで」
「私は、16分を切れたらいいなと」
紘子と私が答えると、水上さんは「な、何を言ってるの?」とばかりに私と紘子を交互に何度も見る。

水上さんが何かを言おうとした瞬間にピストルが鳴り、約400人のランナーが一斉にスタートをする。