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瀬間野信平
瀬間野信平
novelistID. 45975
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火付け役は誰だ!(九番以降)

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やっとこさ立ち上がり横に立つ穂子と視線を交わす。
こちらの準備は万端、覆水の方はと言えば

「ゲホゲホゲホッゲホゲホッ!!」
「…媛佳、日本語でok。」
「う、うるさいっ!!むせたのむせたの!」

…準備万端ということにしておこう。

「それにしても残念ね!ガスを蒔いたならその場で着火すれば良かったのに!一階から炎を届かせるような物をあなた達は持ってないみたいだしこっちのされるがままね!!」

そう上から声を投げ掛けている覆水の顔は勝ちを確信していた。
確かに穂子がガスを放出した段階で着火すれば十分ではある。
しなかった理由は単純、それより安全な方法があるからだ。
そして確かに俺達は特に準備してこのマンションに来た訳ではない、あるのは『超近距離用のチャッカマン』、だけ。

だが。

「…それはどうかな。」

こちらに浮かぶ表情も笑み。
チャッカマンでは四階もの高さに火がチャッカマンを投げでもしないと届かない。

それならば『チャッカマン以外で火を点ければ良い』だけの事。
例えばチャッカマンで火を点けた物を火炎瓶のようにするとか。

「行くぞ穂子!!用意はいいな!」
「おうさ彦ッ!!ヒガコワクナーイは装備済みだよっ!」
「これが俺達の!」
「私達の!!」


「「遠距離必殺技!!オツマミモエールだ!!!」」


チャッカマン着火からの『バタピー』に着火、それを穂子がピッチングマシンさながらの勢いで投球、名付けてオツマミモエール!!
…どうやら俺も少し妖精達の残念なネーミングセンスが感染ってしまったようだ。
ピーナッツは元々大半が油で燃えやすい上覆水の部屋にあったのはバターピーナッツだ、可燃性でないわけがない。
…うら若い一人暮らしの女子高生(と推測される)の覆水の部屋にバタピーがあったのも何か幻想がぶち殺された気がするのだが穂子が見つけてしまったのだから仕方ない。
ともかくガトリング穂子(命名)の腕が霞んでうなり、要は燃えながら空を高速で飛ぶピーナッツ群。

壮観の一言だ、色々。


だがこれだけ投げてもまだガスに着火していない、つまりは覆水と瑞もやられるままではないということ。

「だから妖精のネーミングはやっぱりおかしいって!!!!!!瑞、迎撃!!」
「…水あるかぎりは、ね。」

飛来する発火ピーナッツを片っ端から巨大消火器と水の塊が撃ち落としていく。
「まずいな…」

状況を見る限りこのままではこちらのピーナッツ切れの方が早い。
となればこちらに残る燃えそうなものは何もない。
せいぜい植えられている樹ぐらいだろうが、生木が燃えにくいことは知っている。
相手がここまで迅速に対応してきた上にあのように広く『壁』を張られては、やはりこちらの手持ちでは太刀打ちが


と考えていた俺の目に一階の部屋の玄関前に置いてあるガスタンクが映った。

思い付いた事は…かなり馬鹿馬鹿しいけど二人でならなんとかなるかもしれない。



≡≡火付け役は誰だ!≡≡