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瀬間野信平
瀬間野信平
novelistID. 45975
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火付け役は誰だ!(九番以降)

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下でいつ終わるか分からない地雷源を渡るような顔(※比喩表現ではない)をした主人公が待つこと三分、

「…どうやら分かった、私達は同じ天の元では生きていけないみたいね…」
「…それに賛成だよ、ならやることは一つ。」

「「戦うしかないね!」」

何やら覚悟を決めたようで構える火の妖精と自分のバディ
…を見るもう一人の妖精、瑞の目は冷めていた。

「(…やっと戦い。…貧乳同士の仁義なき脂肪削り取り合戦だから私にはあまり関係が無いかもしれない。)」
「ほら、瑞も呆けないで戦えっ!一緒にあの不倶戴天の敵の妖精倒すの!というか瑞がメインで戦うべきでしょ!」
「…不倶戴天とは色々感情に前進が…まぁ、戦う理由が私にあまり関係がなくなってしまったた気もするのだけれど。…一応、覚悟。」

覆水の掛け声と共に瑞が手をかざす。
それだけの動作だが火災報知器のスプリンクラー下に滴る水が宇宙空間で溢したかのように2、3浮き上がる。

「…遠距離系の能力ってだから嫌いなの!」

ステップで足元、脇腹、肩を狙う水の玉を後ろに下がって避けていく。
普段の穂子なら無鉄砲に前に突撃していったはずだが今回穂子の役割はアタッカーでもボケ役でも噛ませ役でもない、場の調整役だ。

「(今は避けること、そしてあの二人に目的を気づかせないようにすることだけを考える!)」

次々放たれる大玉の水を避けながら少しずつ穂子は本来の狙い、覆水家の玄関ガスタンクに近づいていく。
それに気づかない覆水は攻撃がなかなか当たらないことに焦れったくなったらしい。
瑞にこう指令を下す。

「やっぱり大玉だけだと外しちゃうみたいね、悔しいけどやっぱり貧乳でも妖精かしら、体積が少ない分すばしっこい!」
「………今の発言はボケなのか突っ込み待ちなのか判別しない事にする。…でもこのままではこちらも手詰まり。…どうするの?」
「そろそろ決め時!すばしっこいとはいえ下に飛び降りる程の体力は無いみたいね!瑞!『弾幕』で押し流して戦闘不能に!」
「…了解。」

瑞がこれまでとは違う素早く手で十字を描くような動作をすると床の水が四方八方に跳び跳ねながら穂子に向かってきた。
その数、100。
不規則なスーパーボールのような動きで迫り来る圧力水、避けきらなければ穂子の場の調整は出来ない。
まさに弾幕、迫り来る水の壁のような玉に対して穂子は

「わったし、をナメるなああああああああ」


ガスタンク(推定重量五キロ)を引っこ抜いて、ハンマー投げのように投げた。

女子力の欠片も感じられない攻撃だが無論確かに有効だった。
女子の細腕から放たれた驚異的な速度(初速計測不能)が付加されたガスタンクは空中で『弾幕』に衝突し、莫大な水の圧力に潰された表面からはガスがもれる、というより溢れだした。
すると、『弾幕』はどうなるか、簡単な事だ、ミストを息で吹けばどうなるか。

『弾幕』を張るために否応なしにサイズが小さくなっていた水の玉はガスに吹き散らされ、穂子には届かない、一粒たりとも。
これには冷静なはずの瑞も少し驚きを隠せないようで目を丸くしている。

「…そんなのありなの?そんな妖精が体力バカみたいな解決をするなんて…」
「へっへーん穂子さんを甘く見てもらっては困るのだ!この程度の『弾幕』では常々ヘスティア様から受けるドッチボールの戦いの成果が泣くわい!」
「ガスタンクをぶん投げてなんとかするなんて…というよりヘスティアが何でドッチボールしてんのよ!」
「いやー一応あの方も家庭の神様らしいし、家庭のゲームとかもしたくなるみたいだからね!それにちゃんとルール通りドッチボールもフライパンで撃ってくるよ!ほら竈の神様!」
「…ドッチボールのルールって知ってないでしょヘスティア様。それはあの妖精もだけど。」
「…妖精界ではただ単にアンチエイジングのためにやってるとの噂話。…ドッチボールだと気にしたり突っ込んだりしたら負け。」
「こらそこの二人!何をぶつぶつ言ってるのか知らないけど私もそろそろ反撃するよー!」

自信満々に場のセットアップが終わった穂子はそう宣言する。
ガスタンクからのガスはそこら中に蔓延している、準備完了だ。

「ガスタンクのガスに引火させる気!?でも残念!部屋の火は火災報知器が作動してから消防車が来るまで点けられないから引火出来ないわよ!残念でした!!」
「…媛佳それとは別に何か見落としてるような気がする…早くあの妖精を倒さないと…!」

「もうー遅おいッ!ははははははアイキャンフラアーイッ!やったよ彦ー私出来る子!!ここから先はバトンタッチー!!」


そう言いながら穂子は廊下から躊躇せず下で暇そうに待つバディへと飛んだ。



≡≡火付け役は誰だ!≡≡