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ビックブラザー(総理大臣)はアルバイターでパート

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第三章・量子コンピューターでミニロトで4億円を当てろ!




 早朝、ビックブラザーはミニロボット・タクシーで自宅の狹いアパートに戻る。日本本土ではギャンブルは禁止されているが、ネットで大阪自治区で行われるミニロトという宝くじに参加できる。

「私が一般庶民なら宝くじを買いたい。夢がある。もし4億円あれば、大阪自治区にいる貧しい人たちのために」
「お父さん、何言っているの。ギャンブルは厳禁なのよ。日本連邦の独裁者でしょう」
「そうだな。変なことを言って申し訳ない」
「で、シャワーを浴びて、ねまきを着て寝たら。疲れているでしょう。朝食は」
「ちょっと軽いものを」

 ビックブラザーは、スープを飲んだ。
「これからシャワーを浴びる。で、最も性能が良い量子コンピューターでも、ミニロトの当選番号は予測できないだな」
「そうです。だってランダムでしょう。宝くじはほとんど偶然だから予測不可能なの」
「そうなのか。なにか国民のために良い娯楽は」
「だったらカジノを復活は」
「でも国会議員の意見を聞かないと」
「民主主義じゃないでしょう。あなたは独裁者。自分が正しいと思ったら、それを貫き通すのが政治家でしょう」
「でも、独裁者は日本本土には12人いる。12人ものビックブラザーが一般庶民に紛れて生活している。集団指導体制なんだ」
「要するに近代議会政治でしょう。でも日本本土は共産主義による開発独裁であることは間違えないし」
「政治家は国民の幸せだけを考えればいい。もし私のことが気に食わなければ、いつ暗殺されてもいい」
「お父さん、自分はいいけど、息子や娘たちのことも考えて」
「そうだな。息子と娘たちは、養子にしてもらった。市民軍を支援する組織の家族に。そこだと生活も充実している」
「でも、政治批評家は批判するのが仕事。批判するだけなら小学生でもできるほど簡単なこと。どんな低脳な人でもできるのよ。お父さん、批判する人の意見をいちいち気にしないで」
「わかっている。では、シャワーを浴び、それから昼寝をする。寝るまで静かにして欲しい」
「はい。わかりました。でも独裁者も変わったわね。昔は親族でも粛清の対象になったのに。今の独裁者は弱くなったわ」

 カレンダーを見るともうじき7月になる。
「シュベリアが懐かしい。古代社会を再現したムラ社会では私は村長だった。みんなで仲良く楽しく暮らしていた。あの時は楽しかった」
 それからシャワーを浴び、布団の中に入って寝る。






 つづく