主人公症候群~ヒロイックシンドローム~
「うん。そういえばその追っ手ってどんな人だった?」
床に投げられていた服たちを鞄に詰めながら、カンパーニュはふと尋ねた。
「え? リュスティックっていう騎士だった。金髪で美形の男だったな」
「リュスティック……」
その名前を呟いた後、カンパーニュは黙り込んでしまった。王国騎士団の団長となればこんな森の奥に住んでいるカンパーニュでも名前を一度や二度聞いたことはあるだろう。その姿を見つめていた正義はの足元をセーグルが引っ張る。鼻で指示された先、並べられた二つの鞄を持ち上げて、口元に手を当てたままのカンパーニュについてログハウスを後にした。
作品名:主人公症候群~ヒロイックシンドローム~ 作家名:神坂 理樹人