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机ノ上ノ空ノ日記 1

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明るいレンズは、彼女の目に明るい世界を映し出してくれるはずだった。

しかし、その2ヶ月後、彼女は写真と決別した。

最後に彼女に貸したカメラとレンズが僕の手元に戻ってくる事はなかったが、それはカメラとレンズが旅に出たがっていたからに違いない。

彼女に罪はないのだ。
彼女が写真を断念したのは、僕の中に写真の愚かさを見出したからに他ならない。

彼女との出会いが、僕の中のスイッチを入れたか、或は切ったかしたことは確かである。
そしてその結果、彼女は僕の何かを間違いなく変質させたのだ。

殺していた神経が再生するように、一人でいることがとても淋しいことなのだと気づけるようになった僕は、淋しさのあまり文章のようなものを書き遺すという悪癖まで身につけることとなった。

作品名:机ノ上ノ空ノ日記 1 作家名:机零四