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机ノ上ノ空ノ日記 1

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その僕自身の性格を熟知しているからか、もしくは湯の触媒としての温度を満たさなくなってしまったからか、もう一人の湯気のような自分はそのアイデアに頷くこともなく、それきり答えを出さなくなってしまった。

不意に僕の頭に大きな水滴が一粒落ちて来た。
見上げると換気扇についていた水滴たちが、ついに落下を開始したのが分かった。

僕は大きなくしゃみを一回すると、シャワーの蛇口をひねって丁寧に髪の毛を洗った。
先ほどまで見えかかっていた…ぼんやりとした思考が、まるで夢だったかのように頭皮の汚れとともに流れ落ちるのを僕は感じた。

その後、体を洗い、バスタオルできちんと水滴を拭き取ってから湯船を出た。

いつの間にか深夜放送のBGMは消えており、外苑西通りを通る緊急車両のサイレンだけがうっすらと流れていた。空が白々と明け始めていた。

ユニットバスを出て文字盤の大きなデジタル式の時計を見る。

…あと4時間しか眠れないじゃないか。

僕は余計な考えが頭の中に生まれないように気をつけながら、ベットに入り瞼を閉じた。
遠くでもう一人の透明な自分が、手を振って何かを叫んでいるのが見えたような気がした。

作品名:机ノ上ノ空ノ日記 1 作家名:机零四