机ノ上ノ空ノ日記 1
それは私がMacBook Proにデータを保存する前から。
実は生まれて来てからずっと、未来の私と過去の私と今の私は繋がっていたのではないか。
そしてそれは人の言葉ではないかもしれないが、ちょっとした感覚で、密かなサインを送っていたのかもしれない。
…そろそろ眠らなければ。
私は閉め忘れていた窓をきっちり閉めて鍵を掛けると、寝台に横になった。
日付が変わって5時間程も経過してしまったようだ。
いかに今日が休日だとはいえ、夜更かしをしすぎてしまった。
頭がぽーっとしているのが分かる。
先のイメージも、疲れによるものか。
寝台に寝転がる。心地よい疲れが体全体を包んでいることに気づいた。
…ちょうどその頃だ。2020年に行われるオリンピックの開催都市が東京に決まったのは。
点けるともなく点けていたデジタルテレビから、興奮したアナウンサーの声が小さいボリュームで流れて来た。
ああ、東京になったんだな…良かったな…。
漠然とそう思ったが、それ以上の情報は今の私には必要なかった。
私は寝台に置いてあったリモコンでデジタルテレビのスイッチを切った。
もうほとんど思考する気力もなくなっていた。
しかし、僅かな未来からのサインが確実に私へと送られて来たように感じた。
それは2020年のオリンピックが東京になってしまったことに関係しているようだった。
そしてこれからの東京についてのことらしい。
何となく…だったか、そのサインは私自身の将来にも関わる、あまり良くない兆候のように感じられた。
寝台に寝転がったまま、漠然とした不安を覚えた。
でも、もう体力的に限界だった。未来について思いを馳せるだけの余裕がもうないのだ。
私の寝台に睡魔がやって来て、私を何処とも分からない夢の世界へと連れ去ったのは、本当にあっという間だった。
…未来に思いを馳せるには一日は短すぎる。…いつだってそうさ。
誰かがそう呟いた気がしたが、もはやそれは私にとってどうでも良いことだった。
作品名:机ノ上ノ空ノ日記 1 作家名:机零四