誘拐犯と結婚詐欺師の3日間
D2ーB
あいつ昨日もここで電話してたな。
ミナと今流行の少女アニメの話をしながら横目で金髪のチャラい男を見やる。昨日は暗くてわからなかったけど高校生くらいだろうか。こんな時間になにしてんだ、勉強しろ勉強。
「ミナちゃんの靴すごいね、プリ●ュアじゃん」
ミナは得意げに笑ってなんかよくわかんない呪文とポーズを見せてきた。
さっきからチャラ男がこっちを見てる気がする。
いまチャラ男以外に公園に人はいない。ちょっと早いけど、そろそろ行くか。
あんまりこんな感じで子供と長話するのは不自然だ。チャラ男に感付かれる気はしないけど、一応は「目撃者」だし、服とか髪の長さとか背格好とか、なんかそんなのを覚えられる前にここから離れよう。
「ミナちゃん、プリ●ュアのシールあげる。おいで」
ミナは目を輝かせて私の手を握ってきた。
「リンゴもあるから食べていきなよ」
背中にまだチャラ男の視線を感じていた。今日は公園まで戻らないで返そう。
作品名:誘拐犯と結婚詐欺師の3日間 作家名:真朱@博士の角砂糖