試験×私見
[公法系科目]
〔第1問〕(配点:100点)
20××年,欧州宇宙機関の調査により,10年後に地球に小惑星が衝突することが判明した。小惑星の衝突を回避することは,現在の科学技術をもってしては不可能であった。小惑星衝突による被害としては,地球上の生命のほぼ99パーセントが消失するであろうということであった。
このことは,当初,一般に公開されることはなく,先進主要国のごく一部のみが知る情報とされた。そして,情報を知りえた各国は,秘密裏に小惑星の衝突にも耐えうるシェルターの建設を開始した。日本も,その内の1つであった。
小惑星衝突判明の約1か月後,A国人ハッカーによって,小惑星衝突の情報は盗み出され,その内容が一般に知れ渡ることになった。それにより,各地で事故や暴動が相次いだ。
小惑星衝突まで,あと8年となり,国会は「小惑星衝突災害復興基本法」という法律を公布・施行した。
小惑星衝突災害復興基本法は,その目的として,「小惑星衝突により崩壊した世界を,より早期に復興するための基本的な措置や制度を定めること」が掲げられている。
そして,同法25条には,小惑星衝突に耐えられるシェルターを使用することを許可される者についての定めがなされている。
それによると,シェルターの利用を許可されるのは,次に掲げる①から⑦の者とその三親等以内の親族とされている。
①国会議員
②国務大臣
③省令で定めるところの一定の公務員
④内閣総理大臣が指定した医師,薬剤師等
⑤内閣総理大臣が指定した文化,学芸,芸術等に秀でた者
⑥昨年度の納税額が3億円を超えた者
⑦その他,何らかについて特に優れた者
なお,小惑星衝突までシェルターを建設し続けたとしても,シェルターを利用できる国民は,全国民の1割程度であると試算されている。
Bは,日本国籍を有し,日本国内に居住している。
Bは,シェルター利用許可申請をしたが,不許可処分がなされた。
そこで,Bは自分がシェルターを利用できるように請求したいと考え,国を相手に訴訟を提起することにした。
〔設問1〕
あなたがBの訴訟代理人となった場合,どのような訴訟を提起するか。そして,その訴訟において,あなたが訴訟代理人として行う憲法上の主張を述べなさい。
〔設問2〕
国側の反論についてポイントのみを簡潔に述べた上で,あなた自身の見解を述べなさい。