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試験×私見

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5月だというのに、今日は非常に暑い。
 世間ではゴールデンウィークが終わって、そろそろ新生活に慣れはじめたころ。
 しかし、受験生である自分にはゴールデンウィークなど関係が無い。
 今日からはじまる4日間。
 この4日間のために、この1年間を生きてきた。
 今日からまた、あの熱い4日間がはじまる。
 平成××年司法試験、開幕――

 司法試験の会場は、全国で7か所設けられている。
 札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市。
 自分の受験地は、大阪市。
 大阪らしいネーミングセンスがイラッとくる、公益法人が運営している施設が会場だ。
 1つのフロアに数百人は入っているだろう。
 大阪だけで、受験生は2000人以上いるらしい。それでも、全体の受験生の20パーセント。他の会場には、まだ見ぬ8000人の受験生がいる。
 勘弁してくれよという気になる。

 大阪会場では、1つの長机に2人が掛けることになる。
 去年経験済み。
 今年はどんな人が隣りに座るのかな。
 入室締切時間が来た。
 隣りの席は、空席。
 どうやら、受け控え(司法試験の受験には3回までという回数制限があるため、合格する自信がない場合に受験を控えるということがよくある。かく言う自分は2回目の受験だ)のようだ。
 自分としては、ラッキー。
 去年は、隣りのヤツが机を揺らしてきて、かなり心を乱された。

 最初の試験科目は、選択科目だ。
 初日、午前中の3時間が選択科目の試験時間だ。
 自分は、知的財産法を選択している。
 特許法と著作権法に関する問題が、各1問ずつ出題される。
 得意でもない苦手でもない科目だ。

 そして、選択科目の時間が終わった。
 無難に解答できたと思う。
 次の公法系科目第1問に頭を切り替える。
 さあ、昼食休憩だ。
 コンビニのパンとおにぎりを食べる。
 個人的に、この組み合わせが試験には最適だと思う。
 2種類の消化のために必要な時間が異なる炭水化物を摂取することで、長い間燃料を吸収し続けることができるというわけだ。
 まあ、腹の中のことなど分からないので、実際にはどうなっているか知らないが、そう信じていれば幾分かのプラシーボ効果も期待できよう。

 午後の試験にあたっての入室締切時間になった。
 公法系科目第1問は、憲法に関する問題だ。
 試験時間は2時間。
 去年は、表現の自由に関する問題が出題された。
 これまでは、統治に関する問題は出題されていない。
 さあ、どんな問題が来るか。
 そんなことを考えている中、次々と問題用紙と答案用紙が配布されていく。
 目の前の答案用紙表紙に名前等の必要事項を書き込む。
 選択科目は、いわば前哨戦。
 ここからが本戦だという気持ちが高まる。

 公法系科目第1問、試験開始。
 問題用紙を開く。
作品名:試験×私見 作家名:宇都 治