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リンドウノミチヤ
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novelistID. 46892
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KYRIE Ⅱ  ~儚く美しい聖なる時代~

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第2章 接触~touya2~




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 統也は公爵夫人を見つめ、何ひとつ後悔はしていないと言った。
 夫人は暫く無感覚に陥っていたが、やがて衣服を整えると立ち上がり、後ろを振り返る事なくサンルームを出た。
 外は何事もなかったかのように夕暮れの気配を纏う風が吹いている。
 自分は特別な人間ではなくなった、彼女はふと、そう思った。



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 統也は大通りを歩きながら、ベルベットの様に美しく澄みきった夜の空を見上げていた。
 公爵夫人を抱いた。自分は罰を受けるべきなのだろうかと思う。かつて彼の望みはとても単純なものだったが、今目の前にあるのはあまりにも巨大な虚であり、氷の壁だった。彼は彼女の決して誰にも救うことの出来ない虚無と孤独を垣間見た。彼女にとって、俺は混乱をもたらす存在でしかないのだろうか。


 異国の街は週末のさんざめく男女や家族連れで溢れていた。しかし彼はひとり空を見上げ、誰にも聞こえる筈もない言葉を心の中で呟いていた。



 史緒音。俺はずっとお前が幸せだったらいいと思っていた。何処かの空の下で穏やかな生活を送ってくれればいいと願っていた。それは特になんてことはない、一緒に街を歩いて茶でも飲んで笑ったりする、そんな日常だ。

なあ史緒音、そんなんじゃ、駄目か?