烈戦記
『ぜっだいっ…ぜっだいだがんなぁ…っ!!』
頭を撫でてやると堰が来れたように泣き始めた。
それをただひたすら満足するまで泣かせてあげた。
そして夕焼けが本格的に暗くなりはじめた時、ようやく泣き止んだ。
『…それじゃあな』
そう言うと顔を上げ満面の笑みで。
『おうっ またな!!』
と、答えてくれた。
その目は真っ赤に腫れ上がっていて思わず笑ってしまった。
『ぷっ、お前目が真っ赤じゃないか!!ははは!!』
『なっ!!』
少年はすごく恥ずかしそうに目を擦った。
『じゃあな!!ははは!!』
ちょっとした優越感に浸りながら馬を連れて先で待っていた凱雲の元へ向かう。
『やい帯!!馬には乗らないのか!!』
最後の最後で悲劇が待っていた。
一瞬で血の気が引いた。
周りはこの少年の意外な発言に眉をしかめていた。
が、確かにもっともである。
みんなの視線が自分に集まる。
『…』
そっと振り返ると、少年の勝ち誇った顔が目に入った。
そう、あの時見られていたのだった。
隣まで来た凱雲が横で囁く。
『あの少年に一本取られましたな』
僕は絶望に打ちひしがれた。
『…豪帯様』
『…うん』
それからは大勢の笑い声に見送られたのは言うまでもなかった 。