身代わりの王妃~続・何度でも、あなたに恋をする~
「私の言葉が過ぎて殿下を怒らせててしまったのならば、謝ります。だから、許して下さい」
許して。春花は泣きそうな声で呟いた。
「許さぬと言ったら?」
「そんな―」
春花は泣きそうな表情で辛そうに眼を伏せた。
「中殿、実家の父御も申していたではないか。王妃の自覚を持ち、一日も早く王子を産むのだと、それが王室に嫁いできた、そなたの務めなのだと」
「私はなりたくて王妃になったわけでも、中殿になったのではありません」
ユンの脳裏に半月前の光景が甦った。許氏の屋敷で春花が泣きながら父修得に取り縋っていた姿が今更ながらに思い出される。
―私をどこにもやらないで。宮殿には帰りたくない。良い娘でいるから、私を家に置いて。
「それならば、私はなおのこと、そなたを名実共に妻にしなければならないようだ」
春花の眼が開いた。絶望という負の感情を宿した瞳が揺れている。
ユンは頓着せず、春花の胸に顔を寄せた。こんもりとした膨らみの先端をすっぽりと口に含む。
「いやっ、いや―」
あまりに抵抗し叫ぶので、彼は手で春花の口を覆った。
「静かにするんだ。大声を出せば、今、ここで何が起きているのか外の尚宮たちに知られてしまうぞ、良いのか?」
どうせ翌朝には判ってしまうのだけれど、春花は動転して、そんなことまでは気づけない。彼は卑怯にも春花の多感な少女ゆえの羞恥心を利用したのだ。
大人しくなった春花を上から押さえつけ、彼は思う存分、その豊かな乳房を堪能した。両手で揉みしだき、交互に口に含み先端を強く吸い上げる。舌で乳首を転がし叩いて弾き、また跡がつくくらい、きつく吸い上げた。
たっぷりと愛撫を施されている中に、両の乳首は紅く熟した木の実のように鮮やかに色づいた。愛撫される前の慎ましやかな薄紅色が嘘のようだ。唾液に濡れ光っている乳首が嫌らしく燭台の焔に照らし出されている。
ユンは薄く笑うと、そのいじらしい乳首を指先で摘み軽く引っ張った。
「ああっ」
春花の口から抑えがたい艶めいた声が零れ落ちる。春花自身も自分の声の淫猥さに愕いたらしく、またしても可愛らしい顔が泣きそうに歪んでいる。
「もう、いや―」
か細い声で訴えるのに、ユンはいっそう優しげな、それでいて酷薄めいた艶麗な微笑を端正な面に刻む。
彼が離れたので、春花はこれで終わったと思ったらしい。あからさまな安堵の表情から、考えていることが手に取るように判る。
ユンは力なく横たわっている春花の足許に移動し、チマを大きく捲った。
「―?」
か細い身体が大きく震え、彼女が動揺しているのがもろに伝わってくる。ユンはその隙にすんなりとした脚から下履きを一挙に引き抜いた。
「何を、今度は何をするの?」
怯えた声が聞こえ、春花が上半身を起こそうとするのを彼は体重をかけて押し戻した。
「おっと、そなたは寝ていなくては駄目だ」
「殿下、何をなさるのですか?」
春花はいっそう怯えた声を上げた。
「殿下、何をなさるのですか?」
春花は恐怖に震えながら訊ねてみたけれど、王は応えてくれなかった。寒くもない真夏の夜に、身体が震える。身体中の肌が粟立ち、寒くて堪らない。
怖い。これから何が起こるか判らないだけに、恐怖は余計に大きかった。と、突然、両脚を膝を立てた格好で大きく開かされた。
「あ!」
春花は悲痛な声を上げた。信じられない。他人どころか自分さえ見たこともない大切な場所を大股をひらいた体勢で男に見られている。
「なかなか良き眺めだ。胸の先端もきれいな色だったが、ここも劣らず美しい桜色をしている。どれ」
いきなり秘所を指でまさぐられ、春花の顔は恐怖で引きつった。
「怖いのか? 震えているようだが」
王が春花の顔を覗き込んだ。昼間はあんなに優しかったのに、今はまるで別人みたいだ。
どうして、こんな風になってしまったのだろう。自分が生意気を言って怒らせてしまったのがいけなかったのだろうか。
だけど、幾ら何でも、これは酷い、あんまりだ。
初めて逢ったときから、怖い男だと思ったけれど、やはり第一印象は間違っていなかった。春先に初めて対面したときも、春花の方を怖い眼でにらみ付けていたし、今も気がつくと、王は烈しいまなざしでこちらを射貫くように見つめていることが多い。
あの冷徹な瞳にを向けられると、蛇に睨まれた蛙のように萎縮してしまい、身動きもできなくなる。それでも、初夜では何もしなかったし、春花がいやだと訴えれば途中で止めてくれた。時折、あの怖い眼でにらみ付けてくることを除けば、優しい人だと思っていたのに。
「―怖い」
春花は華奢な身体を小刻みに震わせながら呟いた。
「怖いのなら、こうしておくと良い」
手を取られ、顔の上に導かれ、目隠しをさせられた。春花の手を握った王の手は異様に熱かった。怖い、この男も、男の手の熱さも含めて、すべてが怖くて堪らない。
目隠しをしたまま、男の手で身体中を弄られる。再び胸を執拗に揉まれ、吸われた。尖った舌はざらついていて、それに先端を転がされ弾いて叩かれると、形容のできない感覚が身体中を駆け抜ける。
さんざん胸を弄んだ男は最後にチュッと両の乳首に口づけた。その大きな手が今度は身体中を這い回る。更に次は唇が鎖骨から次第に下へと降りていった。臍の窪みや淡い秘所の茂みを通り、膝で割り裂かれた両脚の太腿を時折はきつく吸い上げ、鬱血の跡を残しながら。
春花の白い膚はあちこちに紅い花びらのような斑点が散った。もちろん、男に吸われた痕跡だ。
また王が離れたので、春花は今度こそ、辛い責め苦も終わりになったのだと思った。安堵のあまり、気を失いそうなるが、ここで意識を手放すわけにはいかないと気を確かに持つのだと自分に言い聞かせる。
そろそろと開かされた両膝を閉じた刹那、いきなりグッと力をこめて膝を大きく開かされた。
「閉じては駄目だ。誰が閉じて良いと言った?」
「あ―」
春花はいやいやをするように首を振る。
「もう止めて、許して」
だが、王は容赦しなかった。こんな姿にして、一体、何をされるのだろうと怯える春花の気持ちなどお構いなしだ。
目隠しをしていて視界がきかない分、余計に感覚は鋭敏になっている。大きくしどけなく開かされた両脚の狭間に突如として、違和感を感じ、彼女は身体を強ばらせた。
秘所に指が入っている。最初は花唇から割れ目の表面をそろそろと撫でるだけだったのが、いきなり指が挿入されたものだから、春花の身体がピクンと大きく跳ねた。
指は一本から次第に増やされ、しまいには数本の指を春花の蜜壺がすっぽりと飲み込んだ。胸や身体中を愛撫されている中に、どうしてか判らないが、蜜壺からは熱い液体がしどとに溢れ洩れだしている。
そのせいで、数本の指を受け容れさせられても、激痛というほどの痛みはなかった。それでも、初めて秘所に指を入れられたのだから、痛みがないはずはない。狭い隘路をぎちぎちに男の指が占領し、絶えず抜き差しする度に、かなりの痛みを憶える。
作品名:身代わりの王妃~続・何度でも、あなたに恋をする~ 作家名:東 めぐみ