金平糖~恋愛短編集~
中学2年生の時、一度だけ聞いてみたことがある。
「ねぇ、拓也。」
「何?」
「彼女作らんの?」
「何、直ちゃん。ついに俺の魅力に気付いちゃった?」
「は?直は克規君一筋だもん。」
「あーそ。つまんない。」
「?」
「俺お前ならいいよ。」
あの時の拓也の真剣な目は今でも忘れられない。
でも…
「なーんてな。なんて顔してんの、変な顔がますます変になってるよ。」
「…!バカ、拓也!!!」
「阿呆、そういう時は?」
「たっちゃんのバカぁ!!」
「はい、合格。」
あの一瞬の真剣な顔なんてどこへやら…くすくす笑う拓也はもういつものポーカーフェイスだった。
作品名:金平糖~恋愛短編集~ 作家名:暁つばさ