金平糖~恋愛短編集~
拓也に彼女ができたのはそれから半年後のことだった。
《俺、彼女できた。直には言っとかなきゃって思って。》
ある日、学校から帰ってベッドに寝転がってたら、意味がわからないメールが来た。
いや、正確に言えば意味はわかる。
…わかりたくないだけで。
つーか、家隣なんだから、てか、部屋向かいなんだから、直接言えよ。
あれか!彼女出来たから私とはもう自由に会えないのか。
顔も知らない拓也の彼女と拓也の会話が(勝手に)脳内で繰り広げられる。
人はそれを妄想と呼ぶらしいが、今の私にそんなことを考えている余裕はない。
『直子ちゃんだって女の子なんだから。私以外の女子と話さないで。』
『もちろんだよ。俺にはお前しか見えてないさ。』
あー、もうっ!!!!
あったまきた…!
驚きの次に来た感情は怒りだった。
拓也の奴、彼女の言いなりで私に会えないからメールとかなんて情けない奴なんだ。(あくまでも私の勝手な想像だと言うことはすっかり忘れてる)
とりあえず、こうしちゃ居られない。
まずは、しっかりと顔を見てことの次第を聞かねば!
お隣の家まで徒歩1分。走って30秒。
玄関のチャイムを鳴らすと、すぐに出てきたのは拓也…ではなく克規くんでした。
作品名:金平糖~恋愛短編集~ 作家名:暁つばさ