金平糖~恋愛短編集~
うちのお隣の拓也はマンガの中のたっちゃんよりはるかに毒舌で、でも器用貧乏なとこと飽きっぽいところはそっくりで、2個上の克規くんはかっちゃんよりもかなりのお調子者でたまたまなのかなんなのか野球部なのでした。(そしてなんとエースでした)
子供の時から克規君はかっこよくて面白くて優しくて、それに比べて意地悪拓也…うるせーよ、直。みたいなそんな関係。
甘酸っぱいものなんて生まれるはずもないのです。
けどまぁ、あれ以来ふざけてたっちゃんと呼ぶようになった私のことを責めないで返事してくれるあたり拓は意外と優しいのかも…なんてふと気付いた時には
「拓也君、かっこいいよね。」
なんていう女子がたくさんいたわけで。(もちろん私は欠片も理解できませんでしたが)
中学になると拓のモテ方はピークに達し(今思えばあれがいわゆる「モテ期」という奴だったのかも)そりゃもう先輩から同級生から後輩までありとあらゆる女の子が拓也、拓也君、拓也先輩と大人気で。
けど、たっちゃんは数多のお誘いを断りつづけていたのです。
作品名:金平糖~恋愛短編集~ 作家名:暁つばさ