Da.sh Ⅱ
俺達は、仲間だ
源さんはどこにいるのか分からないが、挨拶だけでも済ませて段ボールハウスを引き払うべく戻ってきたのだが、考えが甘かった。
「アハハハ、禿げネズミだあって。パパのことだろ。グフッグフッフ、河童とネズミのコ〜ンビ、な〜んちって。アハッ、歩いてるうちに臭いがとれてきたねぇ、クンクン、クンクン、グフッグフ」
腕に抱きついてきては、何度も同じことを繰り返し言う明日香の、嬉しげな様子に文句を言うことも出来ず、いや、そのはしゃぐ姿を見ているだけで無事であったことに安堵し、幸せな気分が押し寄せてくるのだった。
少し遅れて、光圀さんと隼人さんが自転車を押している太郎さんに、競輪で勝負を賭けた様子などを、得意げに話している声が聞こえてくる。ふたりは勝手にホシノテックに追加の金を要求したことを、どのように思っているのだろうか。しかし、オレからは問わないことにした。急に大金を手にするとどうなるかと、気配りしなかったことがいけなかったのだ。
そうして、警戒もせず人通りの絶えた新宿中央公園の広場に入った時に、いきなり周囲を囲まれたのだ。ナイフの刃が跳ね返す街灯の明かりが、目の端から入って来る。