Da.sh Ⅱ
「で、引き出した金は5千万、か。どこだ!」
「コインロッカーにしまってる。明日香は?」
「ホテルのルームでくつろいでいるはずだ。丁重に扱っているから、心配はいらないよ。好美を安心させてやらないといけないからな」
「明日香に会わせてくれ。そうしたら、金は、返す」
「そうだな、最後の別れをさせておいてやろうか。私の寝覚めが悪くなってはかなわん、なぁっ」
虎尾強は、机に置いていた携帯電話を取り上げて開いた。
「そうだ・・・戸山公園・・・手荒に扱うんじゃねぇぞ・・・分かったそうしてくれ」
虎尾強は、立ちあがりながら閉じた携帯をズボンのポケットに突っ込むと、「行くぞ」と声をかけ、部屋を出た。星はオレに一瞥を投げかけ続いて出た。オレも部屋を出かけたところで、先ほどの男に腕をつかまれ、押されるようにして外に出た。歩いて行くらしい。近いのだろう。
空気を求めて仰ぎ見た空は建物で小さく切り取られているが、灯の光を跳ね返して明るみをもった、濃い群青色がどこまでも広がっているのを感じた。
決闘にうってつけの、星のない晴天の夜。星をなきものに! ん?