Da.sh Ⅱ
「太田、金を返してもらおうか。こいつらが接触して来るまでは、物質伝送機のことを完全に信じていた。フンッ、私を騙せるとは、大したもんだ」
「星、オレに会社を辞める気にさせ、借金を重ねさせることは、計算済みだったのか?」
「好美が入社してきた時から、惚れていたんだよ。それをいつの間にかお前がモノにしやがって。憎んださ、お前をな。いつかどん底に落としてやる、と、そのチャンスを窺っていたのさ、合法的に、な。ハッハッハ、好美も明日香も、もう私のもんだ」
「明日香は、どこにいる!?」
「好美の携帯に掛かった電話を私の携帯にも繋がるように細工が出来ること、知っていたかい。それで、明日香の居場所が分かった上に、お前が新宿にいることも分かった。すると、そのふたりからの電話だ。私には、幸運の女神が付いている、ってことかな」
「明日香は、どこに、いる!」
「金はどこだ」
「ほとんどはまだ、銀行に残っている」
「フン、どうやらそいつらの言ったことは、本当らしいな。そのふたりはもう解放してやってくれ。貴重な情報を提供してくれた礼だ」
虎尾強が頭を振ると、「分かりやした」と若い者が立ちあがり、隼人さんと光圀さんを立ち上がらせて、促すようにして共に部屋から出て行った。ふたりはオドオドした様子でオレを見ていたが、彼らから顔を背けた。