Da.sh Ⅱ
伸るか反るか〜なんなんだ? こいつら!〜
源さんが、毎月情報を提供して金をもらっている男。
オレは、そいつの後を付けた。金をたんまり持っていると、当たりを付けてのことだ。一か八か、伸るか反るか。
新宿パークタワーの近くまで来た時、男が右手を上げると、白いミニバンがゆっくりと近づいて来るのが見えた。
オレは走った。息を切らしながら全速力で。
車のドアを開け、男が乗り込もうとして片足と上半身を入れたのと同時に、体をドアの内側に挟み入れた。その時オレは無我夢中で、男に取り残されまいということだけを考えていた。
左足は外に残したまま、シートに座りこんだ男が睨みつけた。
「何シャァがるんだ! シュン、車出せ!」
「待ってくれ! 頼む! 乗せてくれ、怪しいもんじゃない」
「十分怪しいよな。あきらぁ〜、誰なんだい」
オレはドアの内側にしっかりと背中を張り付けたまま、必死の面持ちで早口に言った。男が蹴りつけようとして、振り上げた足を腹と両手で受け止めて。
「源さん、さっき話してただろ、源さんの仲間だ」
「チッ、じっちゃんの知り合いか、公園から付けてたのか?」
と言いながら、男は左足を車体に引っ込めた。
「ああ、頼みたいことがある」
「こんなとこで止まってるわけにもいかねぇや、後ろに乗んな。守、席の荷物、どけてくれ」
オレは「すまない」と言いつつ、置いてけぼりにされないように開いた前扉を手で支えたまま後ろに回って、後部座席に乗り込んだ。