Da.sh Ⅱ
転落
・・・オレは・・・何者だ。
公園のベンチに浅く腰掛け、広げた両足の太ももに肘を押し当てて、うなだれた格好でウタタネをしていた。
ここから早く立ち退けよ、と言わんばかりに冷たい風が吹き付けてきたかと思うと、ゆっくりしてらっしゃい、疲れてるんでしょ、と温かい日差しが優しく包み込んでくれる。
容赦なく肌を痛めつけてくる、凍えた空気。そんな中でも、喧騒絶えない繁華街を酔客や若者に混じって一晩中歩き続け、太陽の温もりを得た今にして、ようやく眠ることが出来る。といっても、つかの間の眠りにありつける、というだけのものだが。
両足の間に置いているショルダーバッグには、顔なじみとなったコンビニで貰い受けた賞味期限切れの弁当と、ハンバーガーショップの売れ残りバンズ2個が入っているが、少しでも暖かさを得られる間に眠っておきたい。
防寒着のポケットには、10円硬貨と50円硬貨が、数十枚入っている。おそらく800円ぐらいはあるだろうが、何時間も歩き続けた今日の収穫が、これだけだ。
自動販売機の釣銭あさり。
その金を入れた財布を、内ポケットにしまっている。ずっしりとした重みはあっても、フトコロは全く温かくない。
・・・どうして、こうなってしまったのだろう。