Da.sh Ⅱ
そんな話をしながら、日本料理屋ヱビ寿の裏口にたどり着いた。
源さんは、大型のゴミ入れの蓋を押し開くと、中に入っている黒いごみ袋2個を取り出し結び目を開いた。手提げ袋から重箱と菜箸を取り出すと、ごみ袋の中身を吟味しながら手の付けられていないものを選りすぐって、器用に重箱に詰めていった。
不況だと言いながらも、相変わらずの “飽食日本”。飢餓・難民のことが頭をかすめた。ああ、オレも難民、なんだ・・・。
それにしても、源さんの手際は見事である。
ゴミ入れの中には、さらに2個のゴミ袋が残っている。
「こっちの袋は開けてみないのですか」とゴミ入れの中に頭を突っ込んで言うと、「ああそっちのは、クズ、ばっかりだからよう」と源さん。
源さんと店との間には、暗黙の約束事があるのかもしれない。
重箱3段に詰め終えると、それを手提げ袋に戻し、オレが提げて公園に戻った。
星が手を付けていたに違いない残り物だと思うと、嫌な気分がしたが、今は、星は見なかったことにしておいた。
飲み屋にも数軒立ち寄ったが、めぼしいボトルは得られなかった。