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リンドウノミチヤ
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novelistID. 46892
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KYRIE Ⅰ  ~儚く美しい聖なる時代~

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第1章 邂逅~sione3~




 外に出た統也は、界隈の空気の不穏な事に直ぐ気付いた。十代の少年の頃から、何百メートルも先の喧嘩やらその他諸々の騒動を嗅ぎ分ける習性がついていた。

 案の定大通りのコンビニの駐車場で、町の一番たちの良くない種類の少年達が少女に絡んでいた。少女は終始無表情だったが瞳には不穏なものを宿しているのが遠目からでも分かった。出所したばかりの彼女にとっては好ましくない事態には違いない。

 統也はため息をつくと彼らの背後に立って呼びかけた。少年達は後ろにいる男が自分達より頭数個分は大柄であることには気付いたが不運にもそれがどう不利に働くかを考える脳みそは持ち合わせていなかった。少年の一人が罵声を浴びせて殴りかかったが、瞬時で音を立ててコンクリートの地面に沈んだ。次いで二人目が腹を蹴られて崩れ落ちるのを見て彼らはあとずさった。男はニヤリと笑って少年達の車のキーと端末を揃って差し出させるとその場にいた少女をバイクの後ろに乗せ走り去った。途中で奪った物を全て放り投げると夜の道を疾走し数分後には町を出ていた。後に残された少年達は突然黒い豪雨に襲われたかのように呆然としていた。