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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
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After Tragedy5~キュオネの祈り(前編)~

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 僕は慌てて書類を持ったまま、トイとキロの間に立った。キロは、明らかにトイがキュオネをレーちゃんと呼んでいるのが気に入らない様子だ。
「そうか?いいあだ名だと思うんだけどな…。」
 トイはそう言うと、僕から書類を受け取って、帰っていいよと言ってくれた。

 家の前に到着すると、そこには一般人に化けているデメテルが待っていた。本来黒である髪を魔法で金色に変えている。僕は、てっきり家には誰もいないと思っていたので驚いた。
「連れて帰って来たぞー!」
 そう言うとキロは、デメテルに馴れ馴れしくハイタッチを求めた。デメテルは、若干それに戸惑いつつも応じている。デメテルは、世の中のルールを司っている神様とは思えない程に、今日も大人しく遠慮がちな様子だ。
「何かあったんですか?」
 僕は家に入ると、デメテルの話を聞くことにした。2人の会話の様子を聞くに、デメテルは僕に用事があるらしい。
「ユクス、神殿の方に来て貰える?」
 椅子に座りながら、デメテルは簡潔に言った。
「行って大丈夫なんですか?」
 僕はデメテルの意外な言葉に驚いた。神殿は、レーニスが殺されたことをきっかけに、人間が入ってはいけないことになっている。僕にとって、神殿付近一帯の神界と呼ばれる場所はレーニスと過ごした思い出の場所なので、封鎖直後は凄く悲しかった。僕は、神殿に行けると聞いて、少し胸が高鳴った。
「特別にね…。ユクスがこの家に住むにあたって、そのことを他の神々に報告をしないといけないの。」
「許可が必要なんですか?」
「ええ…一応、ここの所有者は、私だから、ここは神界の所有物になるの。そこに一般の人間が住まうわけだから、許可がいるのよ。」
 僕は驚いた。この家が神界の所有物ならば、次期村長のトイが把握していてもおかしくないはずなのに、彼は知らなかった。