小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
おもかぴえろ
おもかぴえろ
novelistID. 46843
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

タイトルズoss

INDEX|5ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 

白衣は血圧を上げる。



 医療事務の仕事はじみーに動き回ることの多い仕事だと、身に染みた勤続五年目。
 個人病院だから尚更かもしれないけど。
 ナースでもないのにナースの白衣なんて着ちゃってるものだから動いてると患者さんに時々、看護婦さん、忙しそうだねえ、なんて言われて、違いますよー、と返事するにも慣れっこになっちゃったりとかするんですよ。
 それでね。
 医療関係者にも健康診断と言うものが当然ありましてね。
 身長体重胸部X線採血などなどでお馴染みのアレ。
 お馴染みのアレの一つの血圧を測ってもらってたらですね。
「血圧高いけど、どーしたよ?」
 なんて言われちゃったですよ。
 朝からカルテ持って小走りしたり雑用したり呼ばれて階段上ったり下りたりしてるからね。
 挙句、忙しいのにベテランのナースに呼び止められて何かと思ったら八つ当たりだったってくりゃ、そら上がりもするでしょうよ。
「さっき階段一段抜かししたから?」
 嘘は言ってない。
 女社会は怖いからね。
 迂闊な事は言えやしない。
「忙しいじゃん」
「まーねー」
 肌を撫でるアルコールが冷たい。
「さっき八木さんにつかまったって?」
 大丈夫だった?
 ……ほらね。
 誰が見てたんだか。
 チクッと針が皮膚の下へ潜ってやがてシリンジが赤く染まる。
「んー、ちょっとね」
 苦笑いで察してほしい。
「そっか。あとは問診だけだね」
 健康診断書を挟んだバインダーが手元に戻ってきた。
「ありがとーございましたー」
 我ながら言葉だけだなあ、なんて思う。
「今日の診察室当番、八木さんじゃないから安心しなー」
 ……少しくらい心こめておけば良かったかな。
「さんきゅ」
 今度は少しはこもったと思う。
 勤続五年目、多少気のおけない人間関係も構築できるようです。

作品名:タイトルズoss 作家名:おもかぴえろ