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おもかぴえろ
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novelistID. 46843
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タイトルズoss

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俺の友達が、お前友達すくねーじゃんって言われて彼女に振られた件に付いて



「大切な人ひとりじゃダメなのか…とか言っててめんどくさいんだわ」
「なにそれうざい」
 俺の敬愛する奥様は一生懸命に太刀魚の骨と戦っていて。
 顔を上げもせずにバサッと斬って捨てた。
 飯時にする話じゃねーなー、とは思うが実にフレッシュな話題が友人が振られた話なのだ。
 曰く、元カノの捨て台詞が「お前友達すくねーじゃん」だったと。
「あー、かもね」
「大体さぁ、全部の中心が彼女になってんでしょ? そんなの旦那じゃあるまいし、うざいわー」
 あたしも捨てるわね、そんな男。
「え。」
 彼女の何気ない一言にドキッとした。
 一応婚姻届は出してある。
 そうそう簡単には捨てられないと思うんだ、うん。
 嫌な汗が背中を伝う気がしながら言葉を失っていると奥さんは顔を上げて、ぷぷっ、と吹き出した。
「なんて顔してるの? あたしがいつキミを捨てるって言ったの」
 クスクスと笑って俺の心配を取り除いてくれた。
「世の中にはさあ? 「仕事とあたしとどっちが大事なの」とか「趣味とあたし、どっちが大事なの?」とか寝ぼけた事言う女がいるじゃない?」
 と、唐突に言いだした。
「あれって愚問だと思うのよね」
「たまに聞くね、そう言う話」
 味噌汁を啜りながら続きを促す。
「自分がその人の中心かと思うとゾッとするわ」
 箸を振り回すのはお行儀が悪いと思いますよ、奥さん。
「だってそうでしょ? 何をするにも一々同意を求められるのよ? 意見じゃないの、同意よ。そりゃ最初は良くてもうざくなるわ」
 まあ、憶測で物言ってるけどね。
 そう言って奥さんはまた太刀魚との戦いを始めた。
 太刀魚って美味しいけど、何でこうも小骨が多いのかしら、とブツブツ言っている。
 彼女の食べた後には猫も横を歩きそうなほど綺麗になる。
 食われた魚も本望だろう。
 友よ、お前は世界を広げるべきだとうちの奥さんは言ってるぞ。
 そんな事を思いながら夕食を食べた。

作品名:タイトルズoss 作家名:おもかぴえろ