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落下傘

ぼくが小さい頃「ぼうちゃん」と呼ばれていたのは、可愛い坊やということではなく、ぼうっとしていることが多いためだった。ま、他のイヤなあだ名よりはいいかと思いそのままにしていたんだ。

ぼくは四六時中ぼうっとしているわけではなく、ちゃんと勉強もしているし、友達と普通に遊んだりはしている。ただ、一人で歩いている時に頭の中が空想でいっぱいになっているので、他の人にはぼうっとした子だと思われているのだろう。他のひとにはぼくの頭の中の想像が見えないものね。

ぼくが想像して楽しんでいるのは、ありふれたことなんだ。道端のタンポポの綿毛がふわりと目の前を飛んでいたら、ぼくはタンポポの種にしがみついて空中散歩をするんだ。だけど恐がりだから、自分で想像して空中散歩している筈なのに、下を見て急に怖くなって手を放して落ちてしまう。想像だけなのにお尻が痛く感じて自分で笑ってしまったりしていたんだ。

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僕は色々なことが知りたくて、本を読んだり観察をするのが人より多かったんだろうと思う。だから必死に勉強したという自覚がないのに、大学を出て植物研究所で働いていた。ただし、それからは物事が上手く行かなくなってしまった。

主に野菜の巨大化の研究をしていたのだけど、例えば普通の１０倍の大きなナスを作りあげたが、場所は１０倍、肥料は２０倍かかる。とても採算が合わない。そして重要な問題は種が出来ないことだった。

そして何とか結婚をしたものの、自分の種が無く子どもは出来なかった。研究好きのために結婚にはむいていなかったのだろう。子供が欲しくてたまらなかった妻とは離婚ということになった。