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架空植物園

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おっぱいが二つ目の前にあった。ボクはそうっと撫でてみる。当たり前のことだけど、人間のおっぱいよりは固いが、思ったよりすべすべして気持ちよかった。なんか身体がむずむずするような変な感覚だった。
それぞれおっぱいを1つずつ入れたヘルメットを持って、ボク達は沢に向かった。これを沢で冷やして食べるつもりだ。

ボクたちは石を集め、流れを堰き止めて小さなおっぱいのためのプールを作った。
「おっぱいが冷えるまで沢ガニでも獲ろうか」
「うん」
これで親に嘘をついたことにはならないなあと、ボクはほっとした。
少し大きめの石を持ち上げると沢ガニが逃げ始める。その甲羅を掴んでからこれをどうするか迷った。ボクたちはなんと間抜けなんだろう。沢ガニを入れるためのものを何も持ってきてなかった。

「おっぱい、割ってみようか」
トシ君は、おっぱいが気になってしかたがない様子だった。
「えー、まだ冷えてないよう」
ボクが言ったけれど、トシ君はもう行動に移っていた。
少し大きめの石を拾って、おっぱいの実を叩いた。ボコッと音がしたが割れなかった。スイカよりは固いようだ。トシ君は力をいれてさらに叩いた。グシャッと音がして、実が割れ赤い中身が見えたが、中身が周りに飛んで、一瞬二人で飛び退いた。何がおかしかったのか二人で顔を見合わせて笑った。それから割れたかけらを持って口に入れた。冷えた甘いスイカをイメージしていた頭は、それを美味しいとは思わなかった。確かに甘いのだけれど、生暖かいそれは味わったことの無い味覚に思えた。
「うーん、こんな味だったのか」
「やっぱり冷やさないと不味いよ」

ボクは温度だけのせいじゃないことはうすうす感じていた。ダメだということをやるスリルと、色や形から過剰な期待をしていたせいもある。もう、おっぱいは卒業した歳だし、まだ、おっぱいは早いという歳でもあった。





作品名:架空植物園 作家名:伊達梁川