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心の病に挑みます。

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大分県中津市にJSC一同が到着したのは、こじんまりとした西欧風の建物があった。地域施設の手作りのパンとコーヒーの配慮があり、昼御飯を心配していた雄志には大変ありがたかった。準備などしているうちに、あっという間にシンポジウム開始時刻がやってきた。
田中次長の司会挨拶のあと、JSC理事長、田沢先生の基調講演が始まった。田沢先生の話しは冷静でありながら、しゃべるごとに、熱さが伝わってきた。
 田沢先生が基調講演から帰ってくると雄志は、いままでのJSCからの恩義から当事者として、PSWを捨ててまでもJSC方式つまり精神障害者の雇用をひろめるために、話をさせてもらっていますと御礼を述べた。
田沢先生は、「大和さんのお話は、他の当事者の人と違って、医療関係者の意識を変える力を持っているんですよ!僕でもハッとさせられるぐらい専門家を負かすようなメッセージ性があるんですから」
ともったいなくも誉めていただき、なんともいえぬ感謝・感激・感動の想いが雄志のこころに広がっていった。
田沢先生は、当事者の就職、就労に懸命に取り組む関係者の方々のために、身体を張って戦ってくださるドクターなのだ。先生の闘志と情熱が伝わってくると、雄志は感動のあまり言葉がつまる想いであった。
雄志と花塚のかけあいが無事に終わると、会場からは、「働いたことでメリットはありますか?」との問いに、雄志は「奥さんに怒られなくなったことでしょうか。」と本音をつぶやくと会場に笑いがさざめいた。
締めの質疑応答が終わると、雄志らは舞台から引きあげ、控室でお互いの功をねぎらいながら、後片付け等も行い会場をあとにした。
懇親会で案内されたのは中津市での料亭で、ふぐ料理や、中津の名物・から揚げも登場した。雄志は、ふぐヒレ酒を頂きながら、関係者の方々と種々意見交換をし、有意義なひと時を過ごした。
翌日、雄志は、黒田官兵衛ゆかりの中津城や、福沢諭吉旧邸、また中津名物の唐揚げ屋に足を運び、新幹線に乗り込んだ。
「いよいよ全国へ希望を送る時がきた。心の病を持つ人へ悩める人へ、希望の光を送りゆく活動は、いよいよこれからが本番だ!」
と、雄志は深く決意を固めながら、帰途につくのであった。
『君よ、希望の旋風を送りゆけ!』との恩師の激励を受け、応援してくれる関係者の方々と宿命を使命に変えゆく人生を味わいながら、朗らかに使命の道を歩めることに雄志は深く感謝するのだった。

「行ってきます!」
「パパいってらっしゃーい。」
娘に見送られて、大和雄志は新しい一日を送ります。雄志は執筆・講演という新しい悦びを見いだしているのでした。発病から様々な経過をたどり、精神障がいがありながらも就労しているという事実が、他の人の希望になるのではないかとの気持ちからです。

今、雄志は、日々、新しい希望を抱きながら、懸命に仕事に打ち込んでいます・・・。支援してくださったみなさんに本当に感謝しています。
雄志は決意します。
「忍耐に忍耐を重ね、苦闘を突き抜けた先に、充実した生活を送ることができた。これもひとえに私を支えてくださった家族、先輩、JSCのスタッフ、人生の師匠の励ましなど、多くの方のおかげなんだ!私はこの受けた恩をなんとしてもお返ししていきたい!これから就職を目指す方への希望となっていきたい!」
そう願いながら、新たな使命の道へとその一歩を雄志は踏み出すのでした。
雄志は、嘉穂と娘たちに見送られ、自宅を出発します。朝の陽光は気持ちよく雄志の身体を照らしていきます。曇りや雨、ときには嵐のような日もあることでしょう。
“これから先、まだまだ大変なことがあるに違いない。しかし、これから先、どんなことがあっても強く生きていくのだ”そう決意して進みます。
“苦悩は単なる苦悩では終わらない。人生の深い使命への道を開くということなんだ。”
“宿業は使命なり、病によりて道心はおこるなり。苦難のなかに、自己の飛躍的成長があるんだ。”
人生は勝負、一度でなく、二度も三度も負けていようが、どんなに打ちのめされていようが、もう一度、最後に「よし、勝つぞ!」と再び勇気をふりしぼって立ち上がる。そうした忍耐強い決意と行動を持続できる人に必ず幸運は訪れるでしょう。
“人のために灯をともせば、自分の前も明らかになる”
その心の灯をともし続けていく、そういう人でありたいと思っています。
【負けるなと 我にも人にも語りゆく 希望のともしび  照らすこの道】(完)


オープン就労について、よくある質問

Q JSN(大阪精神障害者就労支援ネットワーク)を利用するにあたり、良かったこと、しんどかったこと

A まずしんどかったことは、内職ばかりして、この先仕事がほんとに見つかるのか不安で仕方なか
ったです。次に良かったことは、企業実習に行かせてもらえることでやる気がでたのと、就職への同
じ悩みをもつ仲間ができたことです。

Q 職場実習について、実習の内容、実習で学んだこと

A 経験のある伝票の突き合わせ、スキルアップのためではなく、休まず遅刻せず朝きちんと出社できることが目標であると支援員より言われ、それを自分に言い聞かせての実習でした。ただ、仕事ができることも大事かもしれませんが、職場でのコミュニケーションがとれないとその職場に居続けることはできないと感じました。そこは今でも課題として残ります。

Q 就職活動について、どのように今の仕事を選んだか?

A 給料の高さではなく、労働環境がよく、長く仕事が続けられそうな職場を第一の基準にしました。たまたまハローワークの求人で見つけたのが今の職場です。

Q 就職活動で苦労したことは?

A 就職活動をするまでの道のりが大変でした。また精神障害があることで、自分を受け入れてくれる職場があるか不安でした。面接の段取りで支援員が間に入って調整してくれたので、余計な心配が少なく安心して任せられました。

Q 現在の仕事について、良かったこと、しんどかったこと

A しんどいことは、休憩時間のとき、雑談で何を話していいか思い浮かず、会話に入れないときはしんどいです。また、明確な指示がなく、手探りで仕事をみつけないといけない状況のときもあります。他の人と比べ疲れやすいので、作業中「ちょっと休憩します」と宣言して場を離れることもあります。
良かったことはまず、自分を受け入れてくれるところがあるというだけでありがたいです。給料が安すぎる点はありますが、労働環境のよさと仕事があるという安定感はとても安心できます。また有給休暇も比較的自由にとれる自由度の高さはとてもありがたいです。

Q 職場の人間関係について、困ること、対処法について

A 様々なタイプの人がいて、悩みはそれぞれですが、相手の性格は変えられないので、誰かにグチを聞いてもらいます。JSNのスタッフにも聞いてもらいます。

Q 職場で配慮してほしいこと

A 精神疾患を理解してくれるキーパーソンが退職したこともあり、それがしんどい。誰か一人でも精神障害をよく理解してくれる存在がいてほしい。

Q 失敗談などあれば教えてほしい
作品名:心の病に挑みます。 作家名:大和雄志