小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

心の病に挑みます。

INDEX|27ページ/30ページ|

次のページ前のページ
 

「心の病のある方が、安心して過ごせる職場を自ら作っていきたい」と抱負を述べた。白星選手も深く頷いてくださった。
またたく間に時間はすぎ、登壇者一同は舞台をあとにした。雄志も今日一日の大舞台を無事に大成功に終えたことに満足だった。
10月になると暑さも随分和らぎ、かなり涼しい風が吹き始めるようになる。その幾分涼しい風の中、雄志は大阪市内の駅に降り立った。某支援センターにて、精神障害者の就労準備基礎講座の当事者講師としての出番である。JSCスタッフと打ち合わせしたのち、施設へと向かった。慢性化した患者さんをみてきていたせいか、若くして障害のある方がたくさんいて、いい意味で期待を裏切られた。
これからの彼らの人生が、いい方向へ行くようにと、心を込めて激励の体験談をアドバイス含め、を原稿なしで一時間ほど、語った。
まだまだ話したいことは山ほどあったが、疲れて寝ている人もいて、持ち時間も過ぎたため切り上げることにした。そばにいた支援員は「すごいですね。個人的にもっとお話をお聞きしたいところですが・・・」と名残惜しそうであった。一時間ほど話をした雄志自身は、汗でびっしょりとなっていた。
では、講演後、寄せられた感想をそのままご覧ください。
【大和さんの話 感想】
・スタッフさんにばかり求めず、自分も信頼、信用を受けるような人を目指すことがきっといい事なんだと勉強になります。
・とても元気を頂きました。お産の近いご身内をおいて利用者(自分も含め)へ話して下さったことに真心を感じました。ありがとうございます。今後につなげていけたらと思うと嬉しいです。
・薬をどうしたらいいかを聞かせてくれたのでとても良かった。
・大和さんの話は、働く前の不安の解消法(皆と不安を云いあったり、スタッフに支えられての朝起きることなど)の話が聞けて良かったです。
・障害をオープンにしての就労はサポートするスタッフあってこそ長く就労できているのかなと思います。
・良い話をありがとうございました。元気な赤ちゃんが生まれることを願っています。
・自分も頑張れば就職できると思いました。勉強になったと思います。ありがとうございました。
・聞き取れずわからないところもありましたが自分にとって得する話の内容だったと思います。
・大和さんの話を聴きまして私も職を転々としやすいタイプではないかという気がしました。
・土日祝は休みで残業も無しというお話やJSNの話を聴きましてもっと早く気付けばとさえ感じました。
・大和さんの話を聞いてすごいな〜と思った事は自分を?やめても、又、仕事に行く事です。
色々なつらい話や頑張った事を聞かせて貰い良かったな〜と思います。
・大和さんは自分の障害を相手によく伝え自分でもよく理解し会社の方も受け入れてくれているので頑張れるのだなぁと思いました。
・大和さんの話は大変為になりました。調子の悪い時にうまく周りの人と協力し合って休憩できる環境は今の自分ではできないと思いました。調子の悪い時はすぐに休む自分ですが、今後はスタッフと相談しながら作業を実行したいと思います。
・体験談を聞いて会社に障害のことを伝えて働くことが長続きすると思いました。
困ったことがあった時は病院やスタッフ、支援者の人にいろいろと相談することが大事だと思いました。
困った時は相談をして長続きするように頑張ろうと思いました。障害があるのにスラスラ話していたのですごいと思いました。
・同じふうに考えている人もいるんだなぁと思いました。(給与より環境を重視されているところとか、福利厚生の面とか)自分の持ってる障害と、その障害で不利になるてんを口頭で伝えるところは、自分もしたので一緒でした(面接で)。規則正しい生活の大切な事とかも自分はできているのでその辺は安心しました。
・実際に就職している方の話を聞いてみて、職場内での人間関係や仕事に対してのモチベーションなど聞けて勉強になりました。時に印象に残っているのが、自分一人で考え込むよりも、自分のことを客観的にみてくれる人(スタッフ、家族)がいることで自分自身の良い点、悪い点などを理解できてそれも面接や実際の職場で強みになるのかなぁと思いました。
・仕事をするときや仕事が終わった時など報告すること大事だなと思いました。
質問は、面接をする時どのように答えたらいいのか教えてほしいです。
・就職に至る具体的な体験談を伺うことができて有難く思います。多くの話を伺えたので一つ一つの件について、私自身の場合と比較して参考にさせて頂こうと思います。今回は質問を控えさせて頂きましが、雇用契約が継続的なものなのか、仕事をする上で不満や不都合を感じることがないのか、課題とされているコミュニケーションの円滑な対応以外にも、仕事をする上での経験をお尋ねしたいと思います。
・自分が障害者であるということを仕事の際に伝えるといいことはとても勇気がいる事だと思います。
私自身、言いたくないと思うときもやっぱりあります。それでも仕事の時、伝えた方がプラスになるのかなぁと改めて思いました。
会場にいるときの反応からは、このようにたくさんの感想が寄せられるとは思ってもみないぐらい、みな静かに聴いていた。共感する部分は伝わるんだなあと雄志は改めて思いながら、これからもしっかりと“語り”の旅を続けようと思うのだった。そしていよいよ全国へ打ってでるときがきた!

真っ暗な早朝5時30分に雄志は、寒さに震えた手をポケットに突っ込みながら、タクシーにのり込んだ。
「いや〜寒いですね〜」タクシーの運転手と雑談しながら真っ暗な中を、今日の“主役”は、高鳴る鼓動を抑えながら嬉しそうに言葉を交わしていた。
JRに乗り、新大阪駅につくと、花塚やジョブコーチの小木とホームで待ち合わせをし、朝7時の新幹線に乗り合わせ東京で“心に希望を灯す”べく大阪を発った。精神の当事者として、全国を舞台にしての“体験発表”である。
雄志にとって東京行きは約2年ぶりであった。かつて、2009年の2月には、千葉・幕張において、精神障害者中央就業セミナーの当事者講師として体験を発表している。
今年は、JSCとして、初の全国デビューをすることになる。本格的な全国行脚が始まろうとしていた。雄志は、病気になった24歳のとき、“絶望”の2文字しかみえなかった。
その絶望の中、雄志を支えている唯一の武器といえば、“過去に、頑張っていた自分自身”であり、人生に忍耐強く頑張ることを与えてくれた“希望の哲学”があった。
人生の師匠に幾度も書籍を頂き、また、師匠の出席される会合に参加し、新鮮な激励を頂いたのであった。それは“人生のスラム街をさまよってはならない”“断じて勝つということを深く深く学びたまえ”との言葉であった。現実は、気休めなどではない。君は無敵の信仰を持っているではないか!自身の使命の道を堂々といくんだ!怒涛のごとく雄志の胸に迫ってきたあのスピーチから雄志は、“希望の旗”を掲げ、無我夢中で、真っ暗闇のなか、がむしゃらに突き進んできたのであった。
作品名:心の病に挑みます。 作家名:大和雄志