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フェリオス年代記996

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見た感じ。確かにきれいだがベルティーナとは違うタイプの美人で、あちらがセレブなお姉さま系だとするとこちらは元気いっぱい健康美人といったところか。大陸のオルシュティン教会のシスターらしくみすぼらしいローブをまとっているので、かなりみすぼらしく見えているのかも知れないが、まあ美人であることは間違いない。フードをかぶったままで髪の毛の様子がわからないのでフードの中身次第でまた感じが違うのかもしれないけども・・・。
「ルイーザ、すばらしい!なんというお美しい名前でしょうか!」とミケーレは大げさな身振りで称える。
「・・・まあ、ここからルパート村までそう遠くないが到着するまでゆっくりされていくといい」
「なにかあれば隣の歩兵に申し付けていただければこのミケーレがかけつけますので何もご心配はありませんので!」
「みなさまに感謝を。この隊のかたがた全員に祝福が訪れますよう」 そう言って目をつむり胸の前で両手で組む。
「祝福感謝する」
イヴァンはそう礼を言ったときはじめてまともにシスターと目が合った。
たしかに普通とは違う、なんとも言えない引き付けられる魅力がある。ベルティーナともクラリーチェとも違うたとえ様もない、強引に言葉にすれば不思議な、と形容するしかない魅力があり、ミケーレがオーラがどうとか言っていたのも確かにうなずけた。
「それでは失礼」そう言ってイヴァンが馬を返そうと手綱を引いたとき何かに気がついた風でシスタールイーザに引き止められる。
「・・・!?少しお待ちください。イヴァン様よろしければ少し手を見せていただけませんか?」と。
そういわれて何気なく右手を差し出すとシスターはその手を両手で包み込み、目を閉じ聞こえるかどうかの声で何なにやらつぶやき始める。
「接続開始、接続確認、強制スキャン開始、該当データ発見、アースプリト、分解終了、アーレングス6を確認、ナル、ナル、ナル、ブルー、リリ−ス、タイプアンデファインド!?」
シスターはそこまで言うとイヴァンの手を握ったまま目を見開き驚いた様子でこちらを見ている。
「あの、シスタールイーザ?イヴァンがどうかしたのですか?」
ミケーレがそう言うとシスターはあわてた様子で手を離した。
「あ、あ、悪魔がついているかもと思い一応その、悪魔祓いのお祈りをささげておきました!!もう大丈夫でしょう」
「そうでしたか!よかったなイヴァン」ドン!と背を強くたたかれたイヴァンは、背をさすりながらミケーレをにらんだが彼はまったく気にしてない様子でシスターに詰め寄って行く。
「シスタールイーザ。よろしければわたくしも悪魔祓いのお祈りをささげてはいただけないでしょうか?」 と手をさしだすものの、
「ミケーレ様は大丈夫です」とニコリと返された。
さらになおも食い下がるミケーレをみていると急にあほらしくなったイヴァンはとぼとぼと定位置に戻って行く。
戻り際にクラリーチェの方をみるとやっぱりまだ3人で楽しそうに話しているようだった。


しばらくするとニコニコミケーレはうきうきしながら隊の先頭に戻ってきた。
ミケーレが戻ってきたのを確認したベルティーナはミケーレに手招きをしてよびよせニコニコミケーレはベルティーナの隣まで馬を進ませてくる。 ボカッ!!「おそいっ!」とベルティーナは一発殴ったあとにそう言った。
「イッテー!なにするんだよベルティーナ!」とミケーレはいきり立つ。
「ミケーレさん・・・もっとボコボコにしないとわからないようですわね!」そうにらまれながら言われるとミケーレのテンションは急激に下がっていく。
「・・・いや、いえ、もう十分です。僕のエイチピーはもう1です。でも・・・俺なんかした?」
「あなたが軍務中に余計なことをやったことについてイライラしてただけよ」
「・・・そうか、・・・ってベルティーナだって許可したろ!それに殴ることないだろ!」
「嫌々許可したのよ。しょうがなく!殴られた理由?そうね・・・、胴体にニヤニヤへらついた頭が乗ってたから、かしらね!!」
それを聞いたミケーレはこの件で到底ベルティーナとまともに話し合う事は出来ないと感じ愕然とするも、なお意を決して語をかさねる。
「わるかったベルティーナ。でもさ、今回は特別・・・いや運命を感じるんだ。頼む!見逃してくれ!!」
「・・・あなたまたですの?」また面倒ごとが増えそうな予感にベルティーナは肩をおとしながらため息をついた。
「いいですこと。少なくとも任務中は一切会話は禁止。いいわね?」
「オーケー、ロードベルティーナ。じゃあ休憩中はいいんだよな?」
「・・・それ許可しないとあなたどうせ、し・つ・こ・い・んでしょう」ベルティーナはいやそうな顔をしながらそう言った。


 しばらく進むと小隊は風車のある見渡しのいい場所に到着した。おそらく積もった雪の下は畑なのであろう。
日はだいぶ傾いており雲が厚く普段より薄暗いもののまだ十分に明るい。村はもうすぐそこにあるはずだ。
今日はゆっくり休めそうだという思いに小隊員の大多数の表情に活力がもどってきていた。 が、その思いはすぐに裏切られることになる。
「あっ、先輩!!あそこに人がたおれてます!!」
ベルティーナは目をこらすと確かに前方に倒れているような人影が見えた。
「ああもうっ、こんどは悪い予感がころがってるじゃないっ!ミケーレっ!」
ベルティーナはミケーレをにらみつけながら様子を見に行けと手を前後に往復させ【行け】と指示する。ミケーレに対するイラつきはまだくすぶっているようだ。
ミケーレは馬を飛ばして倒れている人影の周りをくるくる回りながら確認し、周囲を警戒しながら戻ってくる。
「背中から切られてる」
「生死は!?」
「あれで生きていたら人間じゃない。ほぼ上下で切断されてる」
「ジルベルト君!8列横隊戦闘隊形。オフェーリアちゃんにイヴァン付副官を命じますイヴァンの所に行って。急いで」
「アイアイマム」
「はっ、はいっ!!」
ジルベルト君はすぐに大声で歩兵科に命令を出し戦闘隊形を整え、オフェーリアは馬を返して後方へと駆け出す。
そしてミケーレはベルティーナににらまれ無視された。ので仕方なくベルティーナの後方へつく。
その後、後方でもオフェーリアから事情を聞いたイヴァンもまた命令を出す。
「工兵科は3、3でわかれ左右荷馬車周辺を警戒、看護科3人はそれぞれ荷馬車に分乗して周囲を警戒!異変があったら大声で知らせろ」工兵科と看護科のあわせて9人は急いで荷馬車に追いつきそれぞれ命令を実行して行く。
イヴァンとオフェーリアは荷馬車の先頭に向かい先頭の部隊から後方隊を切り離し停止させた。
ベルティーナは数人の歩兵科を偵察に出したようで5〜6人の歩兵科がそれぞれ別々の方向に駆け出していくのが見えた。
「面倒なことになったな・・・」
「・・・」
「オフェーリアちゃん、引き返すわけにはいかないのか?」
「だっ、だめですよう、行軍演習といっても警備実習も兼ねてますから・・・、ここで引き返したのがばれちゃったら全員軍法で処罰されちゃいます・・・」
「だよなあ」