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養蜂場のおじさんとプーサン

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お「普通はそんな食べ方はせんくてな、パンに塗ったりバニラアイスにかけたり、肉の表面にさっと塗って焼いてもなかなかジューシーでうまいんじゃ」
プ「それは食べてみたいクマ」
お「じゃろう。って何の話をしとるんじゃワシは!質問するのはワシじゃ!さあ、答えてもらうぞ。さっきお前はここに来たとき蜂蜜がまだあったと言った。つまり蓋を開けたということじゃ。さらにお前は目の前にあったら食べちゃうぐらい蜂蜜が好きと言った。つまりお前が食べたんじゃな?」
プ「蓋なんか開けなくても臭いを嗅げば蜂蜜があることぐらい分かるクマ。それに、目の前にあれば食べちゃうっていうのは物の例えクマ。実際、我慢ぐらいできるクマ。」
お「ムムム、しかしじゃな」
プ「犯人は僕じゃないクマ。疑われても困るクマ」
お「よし、分かった。仕方あるまい」
プ「あきらめたクマか??」
お「お前を正直者の泉へ連れて行く!」
プ「どこクマ?」
お「正直者の泉には女神様がおってな、その方は何でもご存知なんじゃ。嘘をついてもすぐにバレるぞ。そこで真実をはっきりさせようじゃないか支度があるから少し待っておれ。楽しみにしとれよ」

 おじさんは準備に向かう。

プ「まずいことになったクマ!」

 クマは心配で、おじさんが何の準備をしているのか見に行く。




 おじさんと熊は山道を上っている。おじさんはリュックサックを背負っており、熊より少し前を歩いている。二人は山道を抜け、泉の前に辿り着く。

お「着いたぞ、ここが正直者の泉じゃ」
プ「へぇー」
お「待っとれ、今準備をする」

 おじさんは鞄から蜂蜜を取り出し、お供えの台に置く。そして大麻(おおぬさ)を取り出す。

プ「何してるクマ?」
お「女神様をお呼びするための用意じゃ。では始めるぞ」

 おじさんは儀式を始める。
 すると、ザバザバという水の音と共に女神が現れる。
 女神はとても指先が優雅である。

女「あら、いらっしゃい。素敵なお供え物ね」
お「ははあ」
プ「この人が女神様?」
お「おい、頭が高いぞ」
プ「は、はい。すいません……クマ」
女「今日は何の用かしら?」
お「はい、本日は女神様に判断していただきたいことがございましてお伺いしました。今から彼の者が正直にお話ししますので、それが本当かどうか教えていただきたいのでございます」
女「ええ、お安いご用です」
お「ありがとうございます。よし、話せ。ほら」
プ「あっ。あっイタタタタタタタ」
お「どうした?」
プ「お、お腹が……うぅ」
お「腹痛か?」
プ「いや、いや……お腹から……足の先にかけて」
お「打撲か?」
プ「あ、あと頭も熱っぽく…」
お「そりゃ大変じゃ。早く森の病院で注射せんとな」
プ「治ったクマ」
お「早いな!な、なら女神様に早く話せ」
プ「い、いや」
お「何じゃ?」
プ「よ、よいしょ。よいしょ」

 熊は準備体操を始める。

お「何をしておる!?」
プ「ちょっと準備体操を」
お「なぜ今、準備体操なんじゃ!?口を動かすだけじゃぞ!?ちょっ早くやめんか!女神様がお待ちじゃろう」
女「あら、そろそろ時間が」
お「!?女神様ももう時間がないんじゃ!早くしろ熊よ!」

 しかし、熊は準備体操をやめない。

女「もう行かなくてはいけないの。お供え物ありがとう。さようなら~」
お「ああっ!女神様!」

 女神はお供え物を持って去って行く。

お「帰ってしまわれた…」
プ「何で帰ったクマか?」
お「時間制なんじゃ」
プ「せちがらいクマね…」
お「もう一度呼ぶぞ」
プ「もう一回!?」

 おじさんはまた蜂蜜をお供えし、準備をする。

お「今度はすぐに言えよ。女神様が現れたらすぐにじゃ。今度は体操も腹いたも関係ない。準備はできとるんじゃろうな?」
プ「え、う、うん」
お「ではいくぞ!」

 おじさんはさっきより簡易な儀式を始める。
 すると、ザバザバという水の音と共に女神が現れる。

女「あら、また呼んでくれたのね」
お「はい。用件は先ほどと同じです。ほら、熊よ。話せ」
プ「う、うん………。今日は……良い天気クマね…」
お「何の話をしとるんじゃ。蜂蜜の話をせい」
プ「初めは…。初めは、世間話から」
お「ったく」
プ「服、お似合いですね」
女「ありがとう。服飾屋さんがお供えしてくれたの」
プ「へー、その服屋さんは良い趣味クマね」
女「ええ、そうなの。とっても良い服」
プ「ところで、森の大臣が代わったのは知ってるクマ?」
女「ええ、知ってるわ」
プ「わあ、何でも知ってるクマね」
女「この辺りのことは、ぜんぶ水が教えてくれるの」
プ「へえー女神様は水と仲良しなんクマね」
女「うふふ、そうなの」
お「熊よ。そろそろ話を…」
プ「ああ、そうだったクマ。それで森の大臣のことなんだけど」
お「その話じゃないわい!蜂蜜の話をせいと言うとるんじゃ!」
プ「わ、わかったから、怒らないで欲しいクマ…」
お「早く話せ!今話せ!すぐ話せ!」
プ「…(ボソボソ)」
女「?」
プ「(ボソボソ)」

 熊は何か呟いているが、声が小さ過ぎて女神にも聞きとれない。

お「何をブツブツ言うとるんじゃ!」
プ「(ボソボソ)」
お「声を出さんか。声を…はよう!」
プ「(ボソボソ)」
女「もう時間だわ」
お「お待ち下さい女神様!」
女「さよ~なら~」

 女神はお供え物を持って去って行く。

お「行ってしまわれた…」
プ「(ボソボソ)」

 熊は女神が去って行った方向へ手を振っている。
 おじさんは熊を掴まえてプロレス技をかける。

プ「あっ、ちょっ、えっ、待っ。イタタタタタタタ」
お「なぜその声をさっき出さんかった!」
プ「ごめんクマ!ごめんなさいクマ!」
お「いいや、聞く耳持たん!」

 おじさんは熊が十分苦しんだのを見てから技を解いた。

お「ふぅ。もう一度呼ぶぞ」
プ「もう一回クマ!?」

 おじさんは再度、蜂蜜をお供えし、準備をする。

お「女神様には申し訳ないが、目的を達成してないからのう」

 おじさんはさっきよりさらに簡易な儀式をする。
 すると、ザバザバという水の音と共に女神が現れる。

女「また何か用事かしら?」
お「正直に聞きます。ワシの養蜂場で勝手に蜂蜜を食べたのはこの熊でしょうか!?」
女「その通りです」
お「やった!やっと証明されたぞ!!やはりワシの予想は正しかったんじゃ!」

 女神はお供え物を持って静かに去って行く。

お「ワシの目に狂いはなかった!」
プ「とうとうバレたクマか。お見事だクマ」
お「あぁ、長かった。初めからこうしとけばよかった」
プ「いいや、色んな道を通ってきたからこそ、辿り着けた答えだクマ」
お「あぁ、やはりお前が犯人じゃったんじゃな」
プ「良い勝負だったクマ。次はこうはいかないクマ」
お「お前に騙されるワシじゃねーよ。へっ」

 おじさんと熊は固い握手を交わす。

プ「次は負けないクマ」
お「一昨日来やがれってんでい」

 熊は去って行く。


お「これでやっと一段落つける。犯人も分かったし、これから帰って仕事を…。あーっ!!蜂蜜代弁償してねーじゃねえか!このあんぽんたん!」

 おじさんは言いながら熊を追いかけて出て行く。