フィルムの無い映画達 ♯02
「そうね……お父さん、昔は結構お調子者で、何かあるとすぐはしゃいじゃうタイプだったんだけどね、あなたが産まれてから変わったのよ」
「へー。あのいつも冷静で無口なお父さんにも、こんな時期が合ったんだね」
――そうよ……あの人にもそんな時期があったの……でも変わってしまった……不自然なくらい突然に。「何かあったの?」と何度聞いたか分からない……でもあの人、決して急にはしゃがなくなった理由を私に打ち明けようとはしない……そしてたまに何かに怯えるようにドアを見つめている……
作品名:フィルムの無い映画達 ♯02 作家名:或虎